|  | カカオ豆から作る「チョコレート」
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 バレンタインデーの手作りお菓子として、女性に人気のあるチョコレートを、無謀にもカカオ豆から作ってみました。とはいえ日本では、カカオ豆を入手することは、通常不可能に近い状態(朗報です!カカオ豆が日本国内で販売されています!!)ですので、このレシピが役に立つことはまず皆無!? (^_^;)
 まぁ、チョコレートの作り方として、知識ベースの理解には役立つかな、、、ということでガンバッてみました。
 チョコレートの作り方としては、あまたに料理レシピ本がでていますが、どれも市販のチョコレートを使うか、それともカカオ豆をミクロン単位まですりつぶしたカカオマスを使うことを前提にしています。
 そのような中で、幼児向けの本に、カカオ豆がどういった地域で収穫でき、発酵、乾燥、日本への輸入、微粒子化、調味が行われるかといった様々な工程をわかりやすく書いているものをみつけました。
 また、その編集者の方の協力を得て、今回は、このページを製作することができました。ご協力いただいた方々に感謝いたします。
チョコレート約320g分の基本的な材料
Let’s start!
    
    
ここでの「こつ」
  
  
※1 【通常不可能に近い状態】
 ゲストのTamaQuiさんから貴重な情報が2011年7月6日に入っています。なぁんと、「京都にカカオ豆を取り扱っているお店を見つけました。「バニラプランテーションズ」」ということです。このサイトを確認したところ、価格は、マダガスカル産カカオ豆 250g 1,200円(税込 2011年8月3日現在) ということでした。おぉーっ、これはとっても嬉しい情報でした。他にも、500g単位、1kg単位と販売バリエーションも豊富だし、これで日本でもチョコレート作りが「豆」からできるようになるわけです。やったぁ!! 
 TamaQuiさん、ありがとうございます!! 
      
      
 これをきっかけに改めて調べ直してみたところ、上記を含め、他にも次のようなサイトを見つけました。(いずれも 2011年8月3日現在) 
            
            
      
      
      
      
         
      | 項番 | お店/商品名 | 内容量/価格 | 特徴 | 
      
      
         
      | 1. | お店:バニラプランテーションズ オンラインに特化したお店ですので住所を非掲載にします
 拠点としては京都市上京区にあるとのことです
 TEL/FAX 075-411-0818
 商品名:マダガスカル産カカオ豆 | 250g 1,200円 他にも500g、1kgあり | 
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      | 2. | お店:Dari-K 〒604-8801 京都府京都市中京区今新在家西町22-1F
 TEL075-803-6456 FAX075-803-6460
 商品名:ロースト・カカオ(インドネシア産)
 | 50g 400円 | 
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      | 3. | お店:e-shop ワインマーケット PARTY 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4-20-7
 TEL 03-5424-2580 / FAX 03-5424-2582
 商品名:ドモーリ カシャーヤ・ローステッドカカオ | 100g 1,575円 |    様々なカカオ豆の詰め合わせ
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※2 【カカオ豆】
                        
 収穫したカカオ豆は、現地でバナナの葉でくるみ、3日〜4日ほど発酵させています。発酵済みの時点で30%ほどの水分を含みますので、これを天日乾燥させ、8%以下の水分量にしています。このため、日本に輸入されたカカオ豆は、焙炒の工程からはじめることができます。
             
             
※3 【カカオマス】
                         
 カカオ豆には、カカオ分とカカオバターが含まれています。カカオマスを購入するときに、わざわざカカオ分の含有量の高いものを選ばれている方もおられますが、カカオマスは、本来カカオ分だけでなく、カカオバターが約45%〜55%含まれているというのが自然な割合なのです。カカオバターは、カカオマスにとって邪魔な添加物どころか、わざわざ追加するほどのものです。
              
              
※4 【粉ミルク】
                         
 日本では、粉ミルクといえば、脱脂粉乳のことをさします。高級なチョコレートには、全粉乳の文字があったりしますが、日本では全粉乳の入手は困難だそうです。
              
              
※5 【カカオマスと呼ばれる状態】
                          
 日本で入手できるものは、カカオマスとは言え、実際にはコンチング済みのものです。中には、カカオバターや砂糖、ミルク、その他香料などを添加済みのものもあります。
              
              
※6 【細かくすりつぶしていきます】
               
 一度この工程で区切り、翌日の朝に再開しようとしたのですが、ガッチンゴッチンに固まっていました。もし固まった場合は、次の工程で紹介しているように、チョコレートを湯煎であたためると、やわらかくなります。ご心配なく…。
    
    
※7 【カカオバター】
                         
 ココアバターとも言います。
    
 カカオ豆をペースト状にしたものがカカオマスですが、このカカオマスを絞りとった油脂成分がカカオバターです。ちなみに絞ったカスに相当するものがココアとなります。
    
 カカオマスには大量のポリフェノールを含みます。ポリフェノールは活性酸素を抑え、がんや動脈硬化を予防することができると言われているものです。
    
 大手スーパーやデパートの製菓材料売場、関東であれば、合羽橋や東急ハンズ、LOFTなどで購入できます。LOFTの場合のように、手作り化粧品コーナーに置いている場合もあります。今回のカカオバターは千葉市のフードカルチャー     
おおくら で購入しました。
    
    
※8 【目の細かいざるで、すりつぶす】
                           
 工業的には、舌が感じる限界の25〜12ミクロンまで微細化することによって、なめらかにしつつ、砂糖がすみやかに溶けるようにしています。
              
              
※9 【水が混入しないように細心の注意を払いましょう】
                         
 チョコレートに水が入ると、砂糖成分が溶け、キャラメル状になってしまうため、ぼそぼそになってしまいます。
    
    
※10 【調温/テンパリング】
                        
 チョコレートは油脂であるカカオバターが結晶したモノです。このカカオバターの結晶にはT型〜X型までの5種類の型があります。市販されているチョコレートはX型の結晶になっていますが、一端溶けたりしたときに味が悪くなった経験はほとんどの方があるのではないでしょうか。白く花が咲いたように見えることから、これをブルーミング現象(後述のシュガーブルームと区別するために、特にオイルブルームもしくはファットブルーム)といいます。
    
 この状態になったチョコレートはW型です。テンパリングはこのW型を増やさずにX型の結晶を作る工程なのです。テンパリングでは、一端27度に下げてW型にしてから、再び温度を30度に上げることでX型の結晶を作ります。(スウィートチョコレートの場合は、27度〜29度まで下げ、31〜32度に上げます。)このX型の結晶が核となって、以降X型の結晶が増えていくのです。
    
 市販のチョコレートでは、ブルーミングをさけるため、一端溶けたチョコレートでも、品質を劣化させない対策が施されたモノがあり、いきなり27度をキープするだけで、テンパリングを完了できるものがあります。
    
    
 ブルーミング現象には、この油脂の劣化の他に、糖分が原因となるシュガーブルームがあります。シュガーブルームは、冷蔵庫などで冷やしていたチョコレートを急激に室温にだした場合に発生します。冷えたチョコレートの表面に発生する「結露水」がシュガーブルームの原因となるのです。この結露した水にチョコレートに含まれる糖分が溶けて固まります。
    
    
 こういったブルーミング現象を防ぐには次のような対策が必要です。
    
    
 ○                      
オイルブルーム/ファットブルーム対策 →カカオバターの一部が溶け始める16度以下で保存する
    
 ○                      
シュガーブルーム対策→水分の混入を避け、また結露を避けるために急激な温度変化を避ける
              
              
 また一端ブルーミングがでたチョコレートでも、テンパリングを最初(45〜50度に温め直す工程)からやり直すことで、復活が可能です。現にこのレシピを作る上で、はじめはオイルブルームがばっちりでたチョコレートを作ってしまいましたので、テンパリングをやり直すことで、写真のような比較的マシなチョコレートに仕上げています。(決して、完全とはいえませんが、まぁまぁきれいなチョコレートになりました)
              
              
※11 【冷蔵庫で冷やし】
                     
 冷凍庫などに入れると、変質してしまうので、ゆっくりと時間をかけることが大切です。
    
    
※12 【できあがり】
                
 カカオ豆から作ったチョコの味はそれなりでした。やっぱりなめらかさが足りません。とは言っても、チョコレートの作り方を理解するという目的は十分に達成できました。あと、タバスコを作った直後のすり鉢を使ったのですが、すり鉢から唐辛子成分がしみ出ており、辛っらいチョコレートになりました。びっくり。 ヽ(^。^)丿
    
    
    
チョコレートメーカー
    
 ・大東カカオ株式会社    
     
    
チョコレートづくりの見学ができるチョコレート工場
    
 ・明治製菓
    
   関東工場(坂戸工場) 〒350-0289 埼玉県坂戸市千代田5-3-1 TEL:0492-83-1311
    
   東海工場     
〒426-0033 静岡県藤枝市小石川町4-22-1 TEL:054-641-0900
    
   大阪工場     
〒569-1134 大阪府高槻市朝日町1-10 TEL:072-685-5011
     
    
参考文献
    
 ・サンチャイルド     
ビッグサイエンス2004年2月号チョコレートだいすき                 
税込定価410円
           
 ・化学の質問ありませんかさんのチョコレートのテンパリング(温度調節)について    
     
    
謝辞
    
 ・上記参考文献のサンチャイルド     
ビッグサイエンス担当の竹久さまには、チョコレート作りの動機づくりにはじまり、カカオ豆の入手方法、カカオバターの入手にからむ切り口の見いだし方など、たいへんお世話になりました。この場を借りまして、御礼申し上げます。
           
 竹久様から連絡がありました。ハードカバーのチョコレート本を出版されたとのことですので、紹介させていただきます。2009.3.17更新     
    
    
 しぜんにタッチ!チョコレートだいすき     
(しぜんにタッチ!) (大型本)  価格: ¥ 1,050
    
 出版社: ひさかたチャイルド (2009/01)  ISBN-10: 489325071X  ISBN-13: 978-4893250711
          
 発売日: 2009/01  商品の寸法: 23.2 x 20.8 x 1 cm