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じゃがいもの七変化「かたくり粉」

 じゃがいもでんぷんの取り出し方は、昭和30年代には、小学校4年生の理科の指導要領に掲載されていました。でも現在では、小学校の指導要領からは消えているようです。こういった生きた体験って大切だと思うのですが、残念ですねぇ…。

 せめて、うちのちびどもには、見せておこうっと (^_^;)

「料理界の七変化 粉」 シリーズの紹介
きな粉 白玉粉 上新粉 かたくり粉 きび粉
きな粉 白玉粉 上新粉 かたくり粉 きびだんご

かたくり粉40gの基本的な材料

 じゃがいも200g×2つ 

用意しておきたい器具

 さらしの布   おろし金 

ワラビ餅の基本的な材料

 餅の材料 かたくり粉 40g
砂糖 大さじ1 水 170cc  
 きな粉の材料  きな粉 30g 砂糖 大さじ2 塩 少々
※参考情報
 ・きな粉を手作りするレシピはこちら
 ・塩を手作りするレシピはこちら
 ・砂糖を手作りするレシピはこちら

Let’s start!

作り方  
【皮をむく】

 じゃがいもはきれいに洗い、皮をむいておきます。芽がでて青くなっている部分があれば、取り除きます。

【すりおろす】

 じゃがいものをすり下ろします。すり下ろしたじゃがいもはだんだんと褐色に変わっていきますが、気にする必要はありません。次の水洗いの過程で洗われて、真っ白になります。

【でんぷん質を水に洗い出す】

 すりおろしたじゃがいもに含まれるでんぷん質を取り出すために、さらし布にフワッと包み、水のなかでユラユラと揺らしながら、10分ほどもみほぐし、でんぷん質を水に洗い出します。

【でんぷんを沈殿させる】

 ボールの中の水は、褐色になっているはずです。10分〜15分ほど静置すると、かたくり粉になる馬鈴薯でんぷんは、水の底に沈んでいきます。でんぷんがボールの底に沈んだら、上澄みの褐色の水を捨てます。

【何度か水を入れ替える】

 新しい水を入れてかき混ぜ、10分〜15分ほど待ってから、上澄み液を捨てます。これをもう一度繰り返し、全部で3回水を捨てます。真っ白に洗われたでんぷんが見えてくるはずです。

【脱水】

 3回目の上澄みを捨てたら、そのまま1時間ほど静置し、うっすらと表面にでてきた上澄み液を捨てます。

【乾燥させる】

 底に固まっているでんぷんを、表面積が大きくなるように、スプーンなどで薄くこそぎ取ってみましょう。こそぎ取ることで、さっきまで液状だったものが、急に粉っぽさを呈するようになります。

【格子状に切り刻む】

 空気に触れる表面積を増やすために、格子状に切り刻み、さらに乾燥を早めます。このまま半日ほど乾燥させます。冬の寒い時期でも、特に日射に当てなくとも乾燥できるようです。

【仕上げ】

 粉の固まりを押しつぶして、かたくり粉の細かい粒子にしていきましょう。上から押さえつけると、ギシギシという音がして、いかにも『かたくり粉』の感触が伝わってきます。

10 【できあがり】

 じゃがいもから取りだしたでんぷんの粉(かたくり粉)です。本来かたくり粉は、カタクリの根から取りだしたでんぷんですが、今ちまたで、『かたくり粉』という名称で市販されているもののほとんどは、このようなじゃがいもでんぷんです

11 【わらび餅を作っちゃいましょう】

 平らな容器(バット)にきな粉の材料(きな粉、砂糖、塩)を混ぜ合わせて入れておきます。鍋に、餅の材料(今回作ったかたくり粉、砂糖、水)を入れ、弱火で加熱します。かたくり粉が糊状(糊化といいます)になって、透明になってきたら、きな粉の上に入れます。 

12 【できあがり】

 スプーンなどで切り分けるようにしながら、丸め、適当な大きさに小分けにしていきます。小皿にとりわけてできあがりです。プルンとしていておいしいよ。

     

ここでの「こつ」

※1 【芽がでて青くなっている部分
 じゃがいもが光を浴びて、表皮が青くなっていたり、芽がでていれば、取り除きます。これら青い部分には、「ソラニン」という、えぐ味のある毒性物質が生成されているためで、腹痛や胃腸障害、虚脱、めまい、眠気、下痢などの諸症状がでるそうです。ただし、こういった諸症状がでるには、大量のソラニンを食べなければならず、強い苦みも伴うことから、必要以上に神経質になる必要はないようです。
 なお日本では、1973年以来、発芽防止のために放射線を照射することが許可されているため、普通のスーパーで市販されているじゃがいもは、芽がでることは少ないようですが、発ガン性の危険性も指摘されています。

※2 【褐色に変わっていきます
 じゃがいもは空気に触れると、褐変します。これはじゃがいもに含まれるチロシンという物質が酸化してメラニンという茶色の物質に変化するためです。

※3 【かたくり粉(でんぷん)
 厳密にはかたくり粉というのは、ユリに似た『カタクリ』の根からとったものを指しますが、いまではスーパーでかたくり粉といえば、じゃがいもでんぷんから取りだしたものが多いようです。

※4 【糊化といいます
 ご飯を炊いているのも、米を『糊化』させているのです。糊化は、別の言い方ではアルファ化ともいい、温められたでんぷんが、水分子を抱え込み、粘りをもった状態をいいます。このようになると、消化もされやすくなるのです。ところが、このように糊化したでんぷんも放置しておくと、もとの状態に戻ってしまいます。この元の状態に戻ることを『老化(ベータ化)』と呼びます。
 老化を防止するには、次の3とおりの方法があります。
  1.水分を10%以下の状態にする(例:インスタントラーメン)
  2.水中に入れる(例:水餅)
  3.砂糖を大量に加える(例:ようかん)
 わらび餅の作り方のなかには、大量の砂糖が、かたくり粉に加えられていることがありますが、あれは、3.のような効果を狙ったもののようです。

参考文献)

 1.「こつ」の科学 杉田浩一著 柴田書店 ISBN4-388-25096-1 C0077 \1,200E
 2.中村学園大学図書館さん の食品加工学1994年(平成6年)第八回の試験問題

 


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