|
絹の光沢「あめ」
|
ガムに比べて、倍の倍の倍のおいしさ(我が家比)だそうです。 (^_^;) 京都の祇園祭りで見ていたようなあめ細工を作ってみたい気にさせる、あめ作りです。熱々でないと固まってしまうのかと思いきや、かなり低温になっても伸ばせることができました。それなのに完全に冷えると、ガッチンゴッチンのあめになるので、なんか魔法をかけたみたいです。 『ルーモス、光よ』ってさけんだら、杖のさきに光が灯ったりして… (^^ゞ (ハリー・ポッターに洗脳されてマス)
材料には水飴を使うのですが、水飴って単なる砂糖水ではないのです。水飴もたくさん買ったことだし、近々きな粉あめも作ることにしよっと。
飴を作る基本的な材料
Let’s start!
|
作り方 |
|
1 |
【準備】 アルミホイル2枚を拡げ、油を薄く塗っておきます。1枚は固まり具合を確認するために項番4で使用するだけなので、小さくても構いません。
|
|
2 |
【材料を煮溶かす】 砂糖、水飴、水を鍋に入れ、強火にかけて煮溶かします。
※ 今回は三温糖を使っているので、全般的に黄金色になっています。
|
|
3 |
【煮詰める】 はじめのうちは透明で細かい泡がたくさんでます。
|
|
4 |
煮詰まってくると次第に泡に粘り気がでてきて、1つ1つの泡が大きくなってきます。またこのころからほんのわずかですが、透明だった砂糖がうっすらと茶色に色づいてきます。これを目安にして一度火を止め、スプーンで少量をすくって、アルミホイルに垂らして冷まし、固まり具合を確認します。
固まらないようであれば、もう少し火にかけます。 |
|
5 |
【あら熱とり】 氷水の入れたボールに鍋ごと10秒くらい浸け、やけどしない程度まであら熱をとります。冷やしすぎると作業ができなくなってしまいます。
|
|
6 |
【あめを引く】 あら熱をとったものをアルミホイルに移します。アルミホイルにおいてから熱いうちに剥がすようにすると、くっつかずに済むようです。これをひっぱり伸ばしてあめを『引き』ます。
|
|
7 |
あめをぎゅっと引き延ばしては手首をひねりながら折りたみ、またぎゅっと引き延ばしてはひねって折りたたみます。透明だったあめが、空気を含んで絹糸のように光沢のある繊維に変わっていきます。 |
|
8 |
【切り分ける】 絹糸のように輝いたあめをはさみで切り分けます。
|
|
9 |
【できあがり】 できあがりです。きな粉あめの作り方はこちらをどうぞ。
|
|
ここでの「こつ」
※1 【水飴って単なる砂糖水ではない】
水飴は、単に砂糖水を煮て水分を飛ばしたものではありません。砂糖水を煮詰めたものに強い衝撃を与えると結晶化してしまうことがあるのですが、水飴を加えるとそのような結晶化を防ぐことができます。これは砂糖水と水飴の組成の違いにあります。
糖分子の最も小さな構成単位を単糖類と呼び、果糖(フルクトース)、ブドウ糖(グルコース)、ガラクトースなどがあります。この単糖類が結合したものに、砂糖や水飴があるのですが、砂糖(ショ糖)は果糖とブドウ糖がつながってできた糖で、水飴(麦芽糖)は、ブドウ糖が2つつながってできた糖という違いがあります。この違いが衝撃を加えたときに結晶化しやすいかそうでないかの差につながります。またこれらの糖には甘さにも違いがあります。例えば砂糖(ショ糖)の甘さを1とすると、水飴(麦芽糖)は約0.6の甘さしかなく、ブドウ糖は0.55の甘さになります。(下表参照)
甘味料 |
甘味度 |
ショ糖100gと同じ甘さにするための相対重量(g) |
ショ糖(砂糖) |
1 |
約 100g |
麦芽糖(水あめ) |
約 0.6 |
約 170g |
乳糖 |
約 0.27 |
約 370g |
ブドウ糖 |
約 0.55 |
約 180g |
果糖 |
約 1.15 |
約 87g |
ちなみにでんぷんはブドウ糖分子がくさりのように連鎖状につながってできたものであり、アミラーゼ(ジアスターゼともいう)と呼ばれる酵素で、麦芽糖に分解することができます。このアミラーゼという酵素は、大根や麦芽、胃薬に含まれています。大根を使って、でんぷんを糖化させて水飴を作る方法はこちらです。
※2 【三温糖】
三温糖が身体に良い砂糖だと思われている方もいますが、製法上の分類では、この三温糖は『分蜜糖』と呼ばれ、上白糖と同じになります。三温糖は上白糖よりもわずかながらミネラル分を多く含み、外見上はうす茶色をしているので黒砂糖の仲間のように見えますが、この色は上白糖を精製してとりだし、残り成分を煮詰める過程でカラメル化した色です。一方黒砂糖は、製法上の分類から『含蜜糖』と呼ばれ、精製せずに煮詰めたものであり、ミネラル成分を多く含むことから茶色をしているわけですから、三温糖の茶色とは根本的に異なります。
※3 【透明だった砂糖がうっすらと茶色】
砂糖は加熱中の温度によって下表のように状態が変化します。今回のあめ作りでは、項番3.になるまえの約130度です。糖が焦げる温度まで近づくと、徐々に茶色に色づきはじめ、下表のようになります。
項番 |
温度 |
状態 |
用途 |
1. |
60〜70度 |
泡が立ちはじめ、100前後で全体が煮立つ。 |
105度で煮詰めるとシロップ |
2. |
110〜120度 |
細かい泡がでます。 |
この温度で煮詰めて急冷するとフォンダン(白っぽくなります) |
3. |
150〜160度 |
全体が黄金色になります。 |
急冷するとべっこう飴 |
4. |
180〜195度 |
焦げのにおいと、濃い茶色に着色 |
茶色に着色後、湯を少量加えるとプリンに使うカラメルソース |
※4 【あめを引く】
べっこう飴に仕上げる場合には、このあめ作りよりも若干温度が高くなるまで加熱し、拡げたアルミホイルにつまようじや割りばしをおいておき、その先にあめを垂らすように落とします。またあめに色を着けたい場合には、この作業を行う前に食紅などを加えて練り込みます。耳掻きの先っちょにつくくらいのほんの少量を練り込むと良いそうです。
※5 【ひっぱり伸ばしてあめを『引き』】
もし熱いようであればみずあめを食べるときにやったように、割りばしを使ってくるくると回しながら練ってもいいですね。でもお子さんにやらせるような工程でもないことですし、熱いかどうか見極めながら自分の手でこねるほうがあめに変わっていく感触が楽しめます。 (^_^;)
※6 【きな粉あめ】
きな粉あめの作り方も、男の食彩で紹介されていました。
1.黒砂糖20g、砂糖120g、水あめ60g、水100cc、きな粉100gを用意します
2.きな粉以外の材料を煮詰めたあと、きな粉の上にひっくり返し、くっついたきな粉を練り込みます
3.練り終えたあめをはさみで切り分け、表面にもう一度きな粉をまぶしてできあがり
参考文献
・砂糖のひみつ 小竹竹香子
佐々木和子共著 さ・え・ら書房 ISBN4-378-03857-9
・NHK男の食彩 2000年9月1日発行 「味の手づくり工房」あめ
・マーガレット洋菓子店のホームページ http://www.marguerite.info/
の砂糖のページ