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常温で発酵できるお手軽な「カスピ海ヨーグルト」
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もう、ちまたに溢れかえっているカスピ海ヨーグルトですが、遅まきながら紹介します。ただ、作り方といっても、単にタネとなるカスピ海ヨーグルトを用意して、新鮮な牛乳を混ぜるだけなんですけどね。
でも、これにちょっとしたアレンジを加えることができるのが、カスピ海ヨーグルトの本当のいいところかもしれません。アレンジとは、お好みの市販ヨーグルトを加えることです。カスピ海ヨーグルトは、乳酸菌が発酵する環境を整えてくれるので、市販のヨーグルトを加えてもきれいに発酵するのです。
このアレンジの技さえマスターすれば、牛乳を飲むコストにちょこっとプラスアルファの手間を加えるだけで、大量のヨーグルトを日常的に楽しくことができるようになります。
牛乳だとお腹の調子が悪くなるという方(乳糖不耐性の方)でも、ヨーグルト菌の働きで乳糖は分解されるため、牛乳成分の摂取が可能になりますので、季節のフルーツをジャムやコンポートに仕上げて、このカスピ海ヨーグルトにトッピングすれば、それだけで素敵なデザートのできあがりです!!
カスピ海ヨーグルトの基本的な材料
カスピ海ヨーグルトのタネ |
知り合いの方からわけてもらったり、市販のものを購入 100g程度で十分 |
牛乳 500cc〜1リットルくらい |
Let’s start!
さて、ここからはお遊びのコーナーです。というよりも、今回は、このコーナーを作ることを前提に、あえてカスピ海ヨーグルトの作り方を取り上げようとしたくらい、我が家ではトリコになっているお楽しみ方です。
お遊び歴も早や、今年2012年で10年目くらいになり、言い換えると、カスピ海ヨーグルトに普通のヨーグルトを混ぜることで不都合がでないことは身をもって体験しています。ただしこれは製造方法として保証されたものでもないので、あくまでも自己責任の範疇でチャレンジするということをご了解いただきたいと思います。
というのも、カスピ海ヨーグルトとR-1ヨーグルト等の普通のヨーグルトでは本来の発酵温度が異なり、カスピ海ヨーグルトの発酵適温は前述のとおり27℃に対し、R-1ヨーグルトの発酵温度は37−40℃程度といった根本的な違いがあるためです。
またLG21は酸素に弱いという記述も見つけました。 こういったことを勘案すると、タネ菌を混合させたときに、まったく同じタネ菌が培養されているというわけではなく、その製品に含まれる特定の菌種が優位になり、バランスの崩れた発酵になっている可能性が拭えません。 いずれにせよここでは、10年間の混合の経験の中で、特に、デメリットにつながるような事象はあったにせよ明確な意味では確認できておらず、逆に、メリットにつながるいくつかの事象が確認されたというだけにすぎないことを理解の上、次に進んで頂きたいと思います。 |
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カスピ海ヨーグルトって、ドロッとしていて、普通に市販されているブルガリアヨーグルト等を食べ慣れている方からみると、見栄えが悪いモノです。
また、酸味の苦手な方には受け入れられるとしても、本来のヨーグルトで味わえるはずの酸味に欠けていて、パッとしない、と思っているのは私だけではないと思います。
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そこで、いつものお気に入りの乳酸菌を用意して、スプーン1程度ずつを適当に混ぜ合わせて食べてみました。
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カスピ海ヨーグルトは、アセトバクター桿菌とクレモリス菌、そしていくつかの乳酸菌が活躍しています。ここに乳酸菌の追加をするわけです。
混ぜたあとは、上記項番2以降、全て普通の作り方と同様に行えば、酸味がありながら常温で発酵することができるカスピ海ヨーグルトの完成となります。若干粘りが減って、酸味があり、常温で発酵するという都合の良いヨーグルトです。
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ここでの「こつ」
※1 【牛乳はもちろん普通の130度2秒殺菌】
低脂肪乳はできあがりのカスピ海ヨーグルトもあっさり味になりますので、コクを求める方やお金に余裕がある方は、普通の牛乳を使うことをお勧めします。
なお、健康的な見地から低脂肪乳を選択される場合であっても、カスピ海ヨーグルトの勢いが弱まってきたら、普通の牛乳を与えて、菌の活力を取り戻すようにした方がいいようですので、覚えておくといいと思います。
※2 【乳酸菌だけでなく、酸素を好む好気性細菌を含む】
カスピ海ヨーグルトに含まれるアセトバクター桿菌は乳酸菌の増殖を助け、粘り気の生産を助ける環境を整える働きがあり、酸素を好む好気性の細菌です。
乳酸菌の一種であるクレモリス菌は、カスピ海ヨーグルトの特徴でもあるねばり気のある粘性物質を作ります。一般的に乳酸菌は、空気中よりも低酸素濃度を好みますので、容器の内部でも活力を持って発酵することが可能です。
乳酸菌の働きにより、殺菌作用やアミノ酸、ビタミン類の増加が期待でき、健康効果をうたう論文も欧米諸国には多数報告されています。
※3 【菌の活性低下に備えた事前準備】
通常のヨーグルト菌では、家庭で自家培養を2〜3回繰り返すと、雑菌の混入などの影響から活性度が低下し、腐敗が始まるリスクがありますが、カスピ海ヨーグルト菌は、自家培養を繰り返すことに比較的耐性があり、一般家庭でも数年の単位で自家培養を繰り返すことが可能と言われています。
そんな強力なカスピ海ヨーグルト菌も、時には取り扱いの不注意で雑菌が混入し、活性度が低下することがあります。このような事態に備えて準備しておくには、
1.カスピ海ヨーグルトの一部を隔離して「冷蔵」保存しておく
2.カスピ海ヨーグルトの一部を隔離して「冷凍」保存しておく
という2つの方法があります。前者のメリットは、カスピ海ヨーグルトに含まれる全ての菌にダメージを与えることなく保存できることがメリットですが、反対にデメリットとしては、保存期間が1ヶ月〜数ヶ月が限度となるところにあります。
一方、後者の冷凍保存する方法では、保存期間には原則上限がないことで、デメリットとてしては一部の菌にダメージを与え、必ずしも、保存したときと同じ環境を再構築できないところにあります。しかしながら、総合的に判断すると、私としては後者の「冷凍」で保存しておく方法をオススメしたいと思います。カスピ海ヨーグルトの最も特徴的な菌は「冷凍」によるダメージを受けるわけではないことと、雑菌の中にも冷凍でダメージを受けるモノがあり選択的に良い意味での淘汰の効果が期待できるということで、トータルでみると、冷凍することでカスピ海ヨーグルトの状態がよくなるというレポートが「ルイ・パスツール医学研究センターの赤谷さんレポートで報告」されているためです。
※4 【低脂肪乳の可能性】
低脂肪乳やスキムミルク、豆乳だけでカスピ海ヨーグルトを作ることは、「連続」は避けた方がいいようです。タネがあれば、1度限りの培養であればそれなりのカスピ海ヨーグルトになります。好みもよりますが、低脂肪乳で作ったカスピ海ヨーグルトは、原料となった牛乳同様、味に厚みが少なくなり、軽いタッチのヨーグルトになるようです。
ネットを調べているとスキムミルクや豆乳を牛乳の代わりに使う方もおられることを見つけました。
1.スキムミルクを使う場合は、熱湯100ccにスキムミルク60gを溶かし、牛乳400ccと混ぜておき、カスピ海ヨーグルトのタネと合わせるようです。
2.豆乳を使う場合は、牛乳を大豆固形分6%以上の豆乳に置き換え、カスピ海ヨーグルトのタネと合わせます
参考文献
・ フジッコ のカスピ海ヨーグルトの効果
インフルエンザ感染後のウイルス増殖抑制作用を確認
・ STEIN 自家製ヨーグルトを食べよう