讃岐からの贈り物「手打ちうどん」 |
「また、パパのうどんが食べたいな」と息子に言わしめている手打ちうどんです。私の親父は、手打ちうどんと書かれた店でうどんを食べると、いつも作り方を聞いていたような気がします。でも、なかなか教えてもらえないんですよね。ここがポイントというところは…。
5人分の基本的な材料
中力粉(All Purpose Flour ) 500g | 塩 28g | 水 240cc | うどんのつゆ |
※参考情報 ・小麦粉を調合するレシピはこちら ・塩を手作りするレシピはこちら |
用意しておきたい器具
大鍋 | 伸ばし棒 | 包丁 | まな板 |
Let’s start!
作り方 | ||
1 | 【準備】 塩はあらかじめ分量の水に溶かしておきます。 |
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2 | 【小麦粉をこねる】 大きめのボールに中力粉を計り入れ、1で作った塩水をそそぎ、スプーンで切るようにまぜます。小麦粉と水が均一にまざると、ぼそぼその状態になります。ぼそぼその状態になったら、拳に体重をのせて押さえつけながら、小麦粉を塊にしていきます。こねる必要はありませんが、細かい小麦粉のかすを包み込みながら押さえていくと無駄がでません。 |
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3 | ある程度小麦粉が塊になったら、ポリ袋に包み込み、新聞紙の上から足で踏みます。 | |
4 | 何回か踏んで塊が平べったく広がったら、たたみ込んでまた踏むというようにして、全体がしっとりとするまで(10分から15分の間)繰り返します。 | |
5 | 【熟成させる】 布団の中で寝させます。季節によって夏は30分以上、冬は2時間以上を目安にしてください。 |
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6 | 【伸ばす】 まず、ちょっと踏んで平べったく伸ばしてから、伸ばし棒を使って伸ばします。力づくで延ばすと目にみえない部分でうどんのつながりがちぎれてしまいます。ほどほどにネ。 |
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7 | ある程度広がったら、伸ばし棒に巻き付けながら厚さ3mm(4mmよりも薄く!!4mmではゆであがったときにだんごのように太くなってしまいます)にすることを目安として伸ばします。
ちなみに、通常見慣れているうどんはゆでて太くなったものです。最初は、ちょっと薄すぎるかな、、、と思うくらい、しっかり伸ばしておかないと、うどんの形をしたダンゴになってしまいます。 |
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8 | 【たたんで切る】 伸ばし終わったら、切ったときにうどんの切り口がくっついてしまわないように、強力粉または薄力粉を表面にふりかけながら、折り目をずらしながら階段状に屏風折りして、4〜5mmくらいのピッチで切ります。 |
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9 | うどんはまな板の上でバラバラにほぐし、うどんの切り口どうしがくっつかないようにしておきます。 | |
10 | 【ゆでる】 湯が沸騰したら、まな板に残ったカスの小麦粉を湯に入れておきます。こうすれば、ゆでている最中にうどんが溶けて痛みません。その後ぱらぱらと、うどんを湯に入れます。再び沸騰し、うどんが浮いてくるまで混ぜないようにしてください。 |
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11 | 【もみ洗う】 ゆで上がったうどんは、ボールに移してゆで湯を捨て、うどんが冷えるまで水洗いします。うどんが十分に冷えたら、洗い水を捨て、うどんどうしをもむようにすり合わせ、水洗いするという作業を2〜3回繰り返します。釜揚げのときには讃岐地方では水洗いしません。 |
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12 | 【できあがり】 最もおいしい食べごろは、ゆで上がりから10分間のうどんに芯が残っている間です。うどんのコシを味わいましょう。 V(^0^)V 最近病みつきの、釜揚げ卵(通称 釜たま)の作り方 も参考にしてください。 |
ここでの「こつ」
※1 【水 240cc】
水の分量は240ccとしていますが、200cc〜250cc(もしかしたらもっと多くても大丈夫かも…)の範囲で調節できます。それぞれの特徴は次の表のようになります。
水が少ない場合 | 水が多い場合 | |
長所 | ・切るときにうどんの切り口がくっつきあうようなことが少ない | ・こねやすく、伸ばしやすい ・ゆで時間が短くなる ・うどんの表面が痛む前にゆであげることができる |
短所 | ・こねるときや伸ばし作業のときに力が必要 ・ゆでるときに水分が浸透しにくくなり芯が残りやすい ・ゆで時間がかかる |
・切るときにうどんの切り口どうしがくっつきやすく、だまになりやすい |
※2 【うどんのつゆ】
2002.9.16のはなまるマーケットで紹介されていた万能だしの材料を下表に紹介します。
いりこ 15本 | 水 3カップ | みりん 大さじ 1/2 |
昆布 5×10cm | 削りカツオ 大きくひとつかみ(20g) | 醤油 大さじ 1/2 |
塩 大さじ 1/2 |
※3 【塩】
塩分は茹でた時に溶出するので塩控えめの方にも安心です。塩を麺に加えることで、ゆであがりにかかる時間を短縮でき、ゆでるときにうどんが湯に溶け出し、形が崩れるのを防ぐ効果があります。また、うどんが過度に熟成するのを防ぐこともできるのです。
※4 【中力粉】
中力粉がない場合は、強力粉と薄力小麦粉から作ったもので代用することもできます。強力粉2に対して薄力粉1の割合(340g:160g)で混ぜます。保存状態の良くない粉や、古い粉を使うとゆでるときに麺が切れてしまいます。できるだけ新しい粉を使うようにした方がよいでしょう。余った粉は、冷凍しておくことをお勧めします。
在外邦人の方向けに、小麦粉の種類についてこちらで詳しく説明しています。
でも、実際問題として、日清のフラワー小麦粉(←薄力粉です)を使ってうどんを打ちましたが、角っこもちゃんととんがってできましたし、コシもできました。ただ薄力粉であることを意識して、グルテンを引き出すために、うどんは普通よりも強くかつ、長くこねましたし、一方熟成時間は、グルテンがだれるのを警戒してほとんどとりませんでした。中力粉が入手できないからといって、それがうどん作りを断念するという、根本的な要因にはならないということですね。
また、別の見方をすれば、薄力粉だと、熟成時間をとらずにすむので、短時間で作ることができますし、伸びも良く、小学校3年生の娘でも、楽しくうどん作りができて、良い点もたくさんありました。
※5 【熟成させる】
うどんを打ってからすぐに延ばそうとすると小麦粉のかたまり君と格闘することになります。まず、伸びません。次に分量の水では足りません。かといってここで水の分量を増やすと、屏風折りして切っている最中に、切った断面どうしがくっつき合い、ゆでるときにかたまりになってしまいます。どっちにしてもうどんじゃなくてだんごになってしまいます。
こんな場合は熟成させると伸びやすくなります。一度作ってみて伸びが悪かったという方は、熟成時間を2〜3時間(夏)、6〜12時間(冬)に長くしてみてください。うどんを伸ばしやすくなります。でもあんまり熟成時間が長いとグルテンの形成が進みすぎてうどんがだれてしまいます。 (>_<)ヽ こうなるとグルテンの網目構造がでんぷんを抱えきれなくなって、ゆでているときに小麦粉の中のでんぷんがゆで湯に溶けだしてしまいます。これではうどんがぼさぼさした食感になってしまいます。
※6 【伸ばし棒を使って伸ばします】 2004.1.10追記
うどんは、むやみに力んでも、伸びません。逆に言うと、コツさえつかめば、うどんってこんなに楽に伸びるモノだったんだ!!! と感動するくらい、簡単に伸びてくれます。そのポイントは、麺棒を前後に動かすときに、単純に前後運動するだけでなく、「横に引っ張りながら麺棒を動かすこと(下記項番3.の手順)」なのです。
1. | 麺帯(ドゥ、つまり小麦粉の固まりのこと)を若干引っ張りながら、伸ばし棒に巻き付けます。 |
2. | 体重がかかるような姿勢(伸ばし棒の真上に肩がくる)をとります。 |
3. | はじめは手を伸ばし棒の中心に置き、伸ばし棒を前後に転がしながら、徐々に伸ばし棒の両端方向へ移動させます。両端方向へ移動させる際に、麺帯を引っ張るようにするのがコツです。
※麺帯は、ひとつの方向に伸びただけでは、すぐに縮んでしまいますが、縦と横方向に同時にのばすことで、縮みを少なくすることができ、作業が効率良く進むようです。(実体験より) |
4. | 手が棒の両端に到達したら、麺帯を棒に巻き付けたまま、90℃回転させ、棒から広げます。 |
5. | 適当な厚さになるまで、1.〜4.を繰り返します。 |
※7 【水洗いするという作業】
うどんをもみ洗いすることで、うどんの表面についている、余分なカスを取り除き、舌ざわりの良いうどんができます。もみ洗いするのにはザルの方が適しているようですが、ザルを使うとどうしても、うどんのなめらかな表面に傷がついてしまい、味が損なわれてしまいました。ボールでもみ洗いして、水でカスを洗い流すという作業を2〜3回繰り返すとよいようです。ツルツルうどんに仕上がりますよ。
※8 【釜揚げ】
讃岐地方では、釜揚げうどんのなかでも、一度水洗いしてゆで汁に戻すものを「湯だめ」といい、水洗いしないものを「釜揚げ」と呼び分けているそうです。このように一度水でしめる「湯だめ」や、味噌煮込みの時は、ゆで汁を残しておき、水洗い後、再加熱したものを、ゆで汁に入れます。
※9 【うどんのコシ】
うどんのコシに影響を及ぼすものは、1つだけに限定できるものではありません。 グルテンの形成ができているか、ゆで具合はどうかが鍵になります。
まず、グルテンの形成には、小麦粉に含まれる
1.グルテンの量と
2.グルテンの質そして、
3.グルテンの編み目構造の進み具合があり、
ゆで具合には、
4.絹一本となった「芯」の残り具合があります。
これらを項番毎に、もう少し詳しく説明します。
説 明 |
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1. | グルテンの適量は、国産中力粉のグルテンの量になりますが、強力粉と薄力粉を混合しても同程度のグルテン量にすることが可能です。この場合の混合比は、強力粉2に対して、薄力粉1になります。 |
2. | グルテンの質は、製粉されてからの時間が大きな影響を及ぼします。小麦粉は製粉されてから時間がたっていないものが最良で、時間が経ったものは避けるべきです。残った粉の保存には、冷蔵もしくは冷凍することをお勧めします。 |
3. | グルテンの編み目のすすみ具合については、熟成時間を長くして、編み目構造がすすめばすすむほどいいというわけではありません。「適度」という言葉が当てはまります。 足踏みや寝かしで編み目ができていないとコシは生まれませんが、逆に寝かしすぎて、編み目が出来過ぎるとグルテンがだんだんと1つの固まりになってしまい、だれてしまうのです。前述の説明にもありますが、グルテンの役割は、コシとともに、でんぷんを包み込む構造ですので、だれてしまうと、でんぷんを抱えきれなくなり、うどんが痛んでしまうのです。このグルテンを作るときの立て役者になっているのが、実は「塩」なのです。 |
4. | うどんのコシともいうべき「芯」は、スパゲッティーでいうところの、アルデンテに相当します。アルデンテに仕上げた麺であっても、食べるまでに放置する時間があってはいけないのは、当然ですね。 |
これらの1つでも欠けてしまうと、良い手打ちうどんにはなりません。
※10 【釜揚げ卵(通称 釜たま)の作り方】 2004.1.10追記
最近やみつきになっている「釜たま」の食べ方をご紹介しますっ!
1. | あらかじめ卵は50℃〜60℃のお湯に浸け、あたためておきます。こうすることで、熱いうどんを入れたときに、卵がカルボナーラ状態になりやすくなります。 |
2. | 生姜をすりおろし、のりを刻み、鰹節し削りを用意します。 |
3. | 熱湯をどんぶりに入れ、うどんができあがる直前まで十分温めておきます。 |
4. | うどんができあがる直前にどんぶりの熱湯を捨て、あたためた卵を割り入れます。 |
5. | 釜揚げもしくは、湯だめにして、アツアツに仕上げたうどんをザルにとり、余分な水分をしっかりと切ってから、あたためた卵の上に、うどんを入れます。 |
6. | 生姜、のり、鰹節し削りなどの薬味をトッピングして、生醤油を大さじ
半〜1
くらいのお好みの量をかけ、ざっとかき混ぜて食べます。 混ぜると、底に入れ込んだ卵がカルボナーラ状態になりますので、うまいですよ。 |
※11 2001年 6月17日(日曜日) 5:15- 5:45のテレビ番組「モーニング天気!」に出演し、手打ちうどんを披露しました。
※12 【お勧めの本】
なんでも作ろう、食べてやろう ―パパの実験食品工房 (小学館文庫) (文庫) |
うどんを手打ちしるのなら、 本場にも行ってみたい。 讃岐をおもしろおかしく紹介 これであなたも讃岐へ!? |
香川へ行くなら、やっぱり 1冊は持っておきたい。 |
香川県生麺事業協同組合が 監修しています。 |
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