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身体の芯から暖まる「甘酒」
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新年に初詣へ行ったり、3月の雛祭りでは、甘酒が振る舞われることがあります。寒ーぃときに、たき火を囲みながら、ポッと暖まる甘みのある甘酒をいただくと、身体の中から活力が湧いてきますね。
この甘酒の甘みは砂糖を加えた甘みではありません。米やもち米のでんぷんを、米こうじに含まれるアミラーゼという酵素で糖化して作った還元糖(麦芽糖やブドウ糖
など)の甘みです。お酒づくりではこの甘みをえさにして、酵母菌がはたらき、アルコール発酵させることでどぶろくや日本酒が作られているそうです。
甘酒の基本的な材料
Let’s start!
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作り方 |
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1 |
【もち米を炊飯】 もち米を研いで洗い、1時間以上吸水させてから2カップの水でご飯を炊き上げます。
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2 |
【保温ポットの加温】 保温する容器(魔法瓶を使用)に熱湯を入れ、殺菌を兼ねて内部を加温しておきます。
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3 |
【米こうじをばらす】 もち米を炊飯している間に、米こうじの一粒ひとつぶをばらばらにして、ほぐしておきます。
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4 |
【炊飯したもち米を冷ます】
もち米が炊飯できたら、カップ1の熱湯を加え、しゃもじで混ぜながらあら熱をとり、70度まで冷まします。もち米が70度まで冷めたら、米こうじを混ぜ込みます。
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5 |
【発酵】 温度を60度に保てるような保温容器に詰めます。右写真では1.5リットルの水筒を利用しています。
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6 |
【味見】 10時間を目安に一度味見をしてみましょう。甘味がでていれば発酵完了です。
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7 |
【火入れ】 すぐに食べる場合は、そのままお好みのやわらかさまでお湯を注ぎ戴きますが、ちょっとでもおいておく場合は、80度程度まで加熱して酵素の働きを停止させ(『火入れ』といいます)、あら熱をとってから冷蔵します。
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8 |
【できあがり】 甘酒のできあがりです。この原液2に対して、お湯を1〜2くらいで薄めるくらいがいいようですが、お好みによって調整してください。
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ここでの「こつ」
※1 【70度まで冷まします】
米こうじに含まれる『アミラーゼ』というでんぷんを糖化させる酵素は、70度以上では壊れてしまい、甘酒を作る働きをなくしてしまいます。そのため酵素が破壊されない温度まで冷やしておきます。
※2 【保温容器に詰めます】
電子ジャーは、保温容器として使うこともできますが、製品によっては70度以上になることがあります。一般に酵素の働きは高温になるほどよくなりますが、70度にもなってしまうと、麹カビの酵素が破壊されてしまう恐れがあります。壊れてしまっては糖化をすすめることはできません。
このため電子ジャーを使う場合は一度少量で試しに作ってみて、糖化がすすむかどうかを見極めることをお勧めします。なお、糖化に成功する保温ジャーを見つけた場合、できあがりの確認を6時間程度に短縮して確認した方が良いようです。これは電子ジャーの保温温度が60度よりも高温なことが多いためです。
※3 【酵素の働きを停止】
米こうじに含まれるものは、アミラーゼを含む麹カビ菌だけではありません。硝酸還元菌や乳酸菌などが麹カビ菌の製造時に混入しています。これらの菌も麹カビ菌の作り出した糖をエサにして徐々に活性化してきます。この活動を停止させるためにも火入れ作業が必要になります。火入れせずにおいておくと米こうじを作るときに混ざっているこれらの菌により酸味がでてしまいます。詳細はこちらをどうぞ。
※4 【甘酒のできあがりです】
塩をひとつまみ入れたり、すりおろし生姜を入れると味が引き立ちます。保存は冷蔵保存もしくは冷凍にします。甘酒として食べる以外に、べったら漬けなどにも使えます。
べったら漬け
・大根を3日ほど塩漬けし、水分を取ります
・甘酒、唐辛子、みりんを混ぜたもので大根を漬け込み、ひたひたに水があがるくらいに重石を調節しながら2週間ほど漬けます
※5 【警告】
注意喚起です。手作り食品のなかでも発酵食品は、器具や器具を扱う手などに雑菌がついていると思わぬ事故を招く場合があります。衛生には十分に気をつけて、楽しい食品づくりを心がけるようにしましょう。また、嫌な臭いがちょっとでもしたら口にするのは止め、廃棄する勇気をもちましょう。何事も自己責任の意識をもって行動してください。