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焼酎と塩で「みりん風調味料」

 みりんが焼酎から作られるって知ってました? 家内に聞くと、「言ってあげよう。そんな製法なんてふつう気にしない!」 …ふーん。やっぱりそうなんだ。みりんのラベルをみると、本醸造とか書いてあるので、てっきり酒と同じように一貫工程のなかで造っていくもんだとばかり思ってました。

 酢は酒を造る工程のあとに酢酸発酵させるし、甘口ワインはアルコール発酵できる限界を超える糖分を含めておいて造ります。しかし味醂の糖分は、最初から仕込んだ米の甘さではなくて、焼酎にもち米を添加して麹菌で糖化させた甘さだったわけです。このような作り方ですと、味醂は、果実酒と同じ作り方になるわけで、焼酎を買ったときに納税しているわけですから、庶民の納税義務は果てしている、と考えていいわけでしょうか??(ほとんど自己催眠状態です。)

 でも自家醸造できないなんて、ちょっとさみしすぎやしませんか? バブルも一時期の仮面だったみたいだし、やっぱり日本は、先進国ではなかったということかな (;_;)

「料理には欠かすことができない調味料!」 シリーズの紹介です
味噌作り 醤油醸造 ウスターソース 照り焼きだれ 本醸造みりん
味噌作り 醤油作り ウスターソース テリヤキソース 本醸造味醂
砂糖 ポン酢 柚子胡椒 ごまラー油
さとうきびから砂糖作り 海水から塩 ポン酢 柚子胡椒 ごまラー油
オイスターソース 豆板醤 XO醤 ペペロンオイル タバスコ
オイスターソース 豆板醤 XO醤(エックスオージャン) ペペロンオイル タバスコ

みりんの基本的な材料

焼酎 35度 600cc 米麹 200g 〜 300g 炊飯用 酒 大さじ2 もち米 2合(360cc 約320g)
炊飯用の水 電子ジャーの炊飯用メモリで1.5合相当 塩 できあがり分量の2%(酒税法対策です)
※参考情報
  米麹を手作りする方法はこちら
  ・塩を手作りする方法はこちら

※米は蒸し器で蒸すこともできます(というか本来は蒸すわけですよね)

用意したい器具

電子ジャー ボール
発酵用容器 1.8リットル

Let’s start!

作り方  
【炊飯】

 2合の米をきれいに研ぎ、炊飯器についている「米1合分のラインと2合分のラインとの真ん中あたり」の水で「炊飯」します。このとき米に芯が残らないように大さじ2の酒を加えて、一晩おいておきます。

 もち米を通常どおりに電子炊飯器で炊きます。炊きあがったもち米はあら熱をとっておき、焼酎を加えます。(焼酎を加えることで40度前後まで下がります)
【もち米と米麹を混ぜる】

 米麹は固まりになっているので、十分に手のひらでもみほぐしてバラバラにしておきます。

【焼酎に混ぜ、諸味にします】

 項番2.でもち米と焼酎を混ぜ合わせたものに、米麹を加えしっかりと混ぜ合わせておきます。

【発酵させる】

 もち米、焼酎、米麹をあわせたものを、発酵用容器に詰めて密閉し、半年くらい発酵させます。この発酵過程は主に麹菌がもつ酵素によるもち米の糖化です。仕込み直後には、米麹は空気を含んでいるため相対的に軽くなっており、米麹が表面に浮かびますので、一見、水分が不足しているかのように見えますが、しっかりとみりんになります。
 酒税法対策のために、この仕込み段階で、液の重さの2%の塩を加えておき、塩みりんにして不可飲処置を施します。もし塩を加えないと、お屠蘇にも使え飲むこともできる完璧な本醸造みりんになってしまいます。

 半年経過後の状態です。黄金色のみりんが上澄みになっています。
 これを直接、一度に濾そうとすると、濾し器の目がすぐに詰まってしまい、作業が大変になるので、粗い目のざると細かい目のざるを用意して、最後にさらし布で濾すという3段構えになるようにします。ひととおり濾し終えたら、ザルに残っている粕(かす)をさらし布に包み十分に搾ります。
【熟成させる】

 絞った直後の液は、粕のせいで乳白色をしていますが、2〜3日も置くと粕が沈殿し、写真のようなみりんが取り出せます。この状態でもおいしいようですが、ねかせるとまろやかになるそうです。残った粕はぜひ粕漬けに利用してください。とってもうまいです。

     

ここでの「こつ」

※1 【焼酎 35度
 みりんに使う焼酎ですが、できあがりのアルコール度数が13.5%-14.5%になることを目標にしており、35%のものを使っています。 25%のものを使う場合でもできあがり度数で10%のものを作ることができます。
 35%の焼酎を使うことをお勧めしているのは、単に私が理想と考えているみりんが「三河みりん」だからという単純なものでして、この味に近づけたいからという発想からです。25%の焼酎を使った場合でも、腐敗のリスクがいきなり増大するわけでもなく、問題はないかを思います。

※2 【もち米
 もち米とうるち米の差としては、できあがり時の甘みの差につながります。これは、もち米の方が、アミロペクチンというでんぷんの一種を多く含んでいるためです。このアミロペクチンはこうじに分解され、糖になるため、甘さを引き出すことができるのです。

※3 【米1合分のラインと2合分のラインとの真ん中あたり
 もち米は蒸してつくるのが本来の作り方で、ご飯のように炊飯してしまうと水分が多くなってしまいがちです。そこでこの方法では水分が多くなりすぎないように、水の量を炊飯時の規定の量の70%程度に減らしています。ただし、もち米に芯が残らないように、酒をくわえるとともに、しっかりと一晩水に浸けておくことで、水をもち米の芯まで吸わせておくのです。(どぶろく作りの本を参考にしました)

※4 【米麹を加え
 米麹を加えるときにもち米の温度が高すぎると麹菌に含まれる酵素の効力がなくなってしまいます。ご注意を…

※5 【密閉し
 みりんを作る際に原材料となるのは  焼酎+米+こうじ菌に含まれる酵素  です。焼酎に投入された時点でこうじ菌は滅菌される羽目にあいますので、実質、その後活躍するのは、こうじ菌に含まれる酵素のみとなります。この酵素が米のデンプン成分を分解して糖分に変化させる「糖化」を担うわけです。つまり「生き物」としてのこうじ菌が生きているわけではないので、酸素を供給してやるための小さな穴などは不要となります。雑菌および、小蠅などの侵入を阻止できれば、蓋としてはなんでもいいわけですが、お勧めとしては、二重三重にポリ袋で包み込んでおくと良いでしょう。

 ! 二重三重のポリ袋に包み込む理由 →きっちりと包んだつもりであってもなぜか瓶の底にわっか状の液もれが頻発するためです。

※6 【麹菌がもつ酵素によるもち米の糖化
 酵母菌がないことと、焼酎のアルコール濃度が高すぎるのでアルコール発酵はすすみません。ワインも日本酒もラベルをよくみるとアルコール度は14%前後になってますね。酵母菌のアルコール発酵は、アルコール濃度が高くなるほど酵母菌自体も活力が低下するため、14%くらいまでが限界のようです。このためみりんの醸造のように焼酎にもち米と米麹を加えた場合には、麹菌の糖化だけがたんたんとすすみ、みりんの甘みを作ります。

※7 【液の重さの2%の塩を加えて
 酒税法上塩を2%以上加えないと、法律に触れることになります。 楽しい手作りを時代錯誤の法律のために台無しにならないように、塩を加えます。塩を加えることで調理には使えても飲むことはできないように不可飲処理を施すわけです。この作業により、ここで作るみりんは「みりん風調味料」となります。
 もし塩を加えないで作ってしまうと、お屠蘇にも使え飲むこともできるおいしいみりんとなってしまい、完璧な本醸造みりんになってしまいます。

※8 粕(かす)
 さらしの中に残った粕こそ、「酒粕 (さけかす)」です。日本酒の醸造時には、米と米麹に酵母菌の働きが加わって、アルコール分が生成されるため酵母菌がたくさん含まれていますが、味醂の製法では、酵母菌がアルコール発酵しているわけではないのでちょっと成分は異なると思われます(予想モード)。

※9 【警告】
 注意喚起です。手作り食品のなかでも発酵食品は、器具や器具を扱う手などに雑菌がついていると思わぬ事故を招く場合があります。衛生には十分に気をつけて、楽しい食品づくりを心がけるようにしましょう。また、嫌な臭いがちょっとでもしたら口にするのは止め、廃棄する勇気をもちましょう。何事も自己責任の意識をもって行動してください。


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