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煙の魔術師くん製「ベーコン」
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燻製すなわちスモークは、単に煙りで燻すだけで素材のもつ味を何倍にも高めることができる魔術師です。もし素材に下味がしみこんでいれば、よりいっそうおいしい食材に変身します。
巷には、スモーク用の様々な「缶」が売られていますが、ガソリンスタンドに行けば、スモークに使うことができるオイル缶をタダでもらうことができます。この缶を洗剤で洗い、さらに火であぶって余計な塗料とオイルを燃やしてから使えば、立派なスモーク缶※1 のできあがり。これを使ってくん製にチャレンジしてみましょう。
ベーコンの基本的な材料
豚ばら肉のかたまり 500g〜800g前後 |
タマネギ 1/4個 |
にんにく 2かけら |
下漬け用の塩 大さじ3 |
以下好みで ローレル |
セージ |
セロリ |
胡椒 |
ピックル液の材料
砂糖 8g |
醤油 10cc |
塩 50g |
水 180ml |
用意しておきたい器具
Let’s start!
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作り方 |
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1 |
【準備】 豚ばら肉をつけ込む「たれ」であるピックル液をつくります。ピックル液は、砂糖と醤油・塩・水を混ぜ合わせ、5分〜10分間火にかけて灰汁を取り、冷ましておきます
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2 |
豚ばら肉を流水で洗い、清潔なタオルかキッチンペーパーで水分をふき取った後、ぶら下げられるように、金串で豚ばら肉の端の2カ所に穴をあけ、リング状にたこ糸を通します |
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3 |
【味付け】 下味がしみこみやすいようにフォークで肉に穴をあけ、下漬け用の分量外の塩を振りかけて、もみ込み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で一晩寝させます
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4 |
3で準備した豚ばら肉と、1で準備したピックル液とスライスしたタマネギやにんにくなど、好みの香辛料を加え、空気を抜きながらきっちりと輪ゴムで蓋をして、1日〜3日間冷蔵庫で熟成させます |
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5 |
【塩抜き】 豚ばら肉をボールに入れて流水にさらし、3時間以上をかけて塩抜きをします。溜め水なら5時間くらいはやっておいた方がいいでしょう。塩抜きは長い時間きっちりとやった方が、おいしいベーコンになります。塩抜きが不足していると塩辛いばかりでおいしくありません。
※きちんとやっておかないと塩辛いベーコンになってしまいます(塩辛いベーコンになってもスープに使うと美味)
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6 |
【スモーク缶の準備】 スモーク缶の底にアルミホイルを敷き、その上に一握りで握れるだけのスモークチップと、大さじ2杯の砂糖を混ぜ合わせたものを置きます
※肉からしたたる水分等が直接スモークチップにかからないように、10cm四方程度のアルミホイルをかぶせておきます。
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7 |
【スモーク】
清潔なタオルかキッチンペーパーで豚ばら肉の水分をふき取った後、スモーク缶の上から吊します
今回は持ち手を立てて長いバラ肉を吊し、アルミホイルの蓋をぴっちりとしました。(写真はアルミホイルを4分の1だけ開けた状態です)温度調節はアルミホイルの先端部を開閉することで行います
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8
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スモーク缶を加熱します。はじめは煙がでるまで強火で熱し、煙が出始めたら内部温度が70度になるよう弱火にして、3時間程度スモークします。 |
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9 |
【できあがり】 スモークが終わったら、風通しの良いところで乾かせば、余計な酸味もとれてグッとおいしいベーコンのできあがりです
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ここでのコツ
※1 【立派なスモーク缶】
市販されているスモーク缶は1万円から3万円と、ぴんきりです。これをガソリンスタンドでもらえるオイル缶で代用すればタダにすることができます。ただしオイル缶にはいろんな不純物が混ざっているため、スモーク缶として使う場合には、できるだけ不純物を取り除いてから使いたいものです。
一例として、私がやっているスモーク缶の作り方を紹介します。
1.
オイル缶についている汚れは、ボロ布などでできるだけふき取っておきます
2.
缶の隅に付着している汚れは、少量の有機溶剤※
を流し込み、溶かして吸い取ります
3. 台所用洗剤でオイル缶の中を洗浄します
4. オイル缶をから焼きします
5.
錆止めのために、食用油を塗りつければ、立派なスモーク缶のできあがりです
※警告!! ベンジン、ガソリンなどの有機溶剤は汚れを溶かす力も強力ですが引火性も強いため爆発など取り扱いには十分に注意しましょう。(あなたの責任で生じた事故に対して私は責任を負いません)
※2 【スモークします】
スモークすることで、燻煙に含まれる酢酸やホルムアルデヒド、フェノール類などの殺菌成分が働き、多くの微生物は、短期間のうちに死滅します。ただしこれらの燻煙成分は、スモーク後にはタンパク質などと化合しますので、殺菌成分の残存効果は期待できません。
参考文献)
中村学園大学図書館さん
の食品加工学1989年(平成元年)第三回の試験問題