酸っぱい「梅干し」を食べませんか |
普段あまり食べないのに、病気になるとおかゆといっしょに梅干しを食べることがよくありました。弱った胃にも梅干しはやさしいのでしょうか? 梅干しは体をアルカリ性に保つ効果があるようで、疲労回復にも役立つようですので、ぜひご家庭の味としておひとつどうぞ。
私は、毎年梅が店頭に並びはじめると、いつの時点で、どこのお店で買おうかと、ドギマギ(そんな奴はめずらしいのか、これが普通なのか…)してしまいますが、みなさんはいかがでしょうか。そこで一般的な出荷時期を調べてみたところ、産地によるずれがあるものの、例年次のようになっているようです。
かりかり梅 用 |
梅酒 用 |
梅干 用 |
梅ジュース 用 |
梅ゼリー 用 |
|
販売時期 | 5月中旬〜6月上旬に販売 | 5月下旬〜6月中旬に販売 | 6月中旬〜7月上旬に販売 | ||
代表品種 | 山梨産 甲州最小 長野産 竜峡小梅 |
鶯宿、青軸、白加賀など | 南高梅 | ||
あく抜き | アク抜き必要 | 熟成期間が長いため アク抜き対象外(不要) |
黄色く熟した梅を使う為、通常不要 (青い梅を使う場合には、アク抜き必要) |
||
適当な熟度(色づき) | 青みがかっており、黄色くなる前 | 全体が黄色くなり、部分的に赤みがさしたもの (香りも高いです) |
出荷の初期からピークまでは、梅を10kg程度の箱売りにして、単価を下げて販売している八百屋さんもありますが、出荷のピークを過ぎると、箱売りがなくなり、1kgの小売りだけとなってしまいます。
そうなってからでは、まとまった量の大量購入時には、結局、割高になってしまうため、泣きをみることも… (;_;)
そんなことにならないように、上記期間中であっても、テキトーな時期を見計らってバシッと買っちゃいましょう ヽ(^。^)丿
梅干しを作る基本的な材料
梅(黄色く熟した実) 2Kg | 塩 400g | 赤じそ 2束 |
※参考情報 ・塩を手作りするレシピはこちら |
2009年の我が家は12Kgを仕込みました
(それでも赤じそは、コスト抑制の為、2束だったりする)
用意しておきたい器具
Let’s start!
作り方 | ||
1 | 【下準備】 梅干しの梅には、真っ青な梅よりも幾分熟し始めた梅を用意し、梅のへたは竹串でほじって取り除きます。 |
|
2 | 【アク抜き】
梅干しを痛めないように水洗いします。 |
|
3 | 【水分ふき取り】 水をきってから、清潔なタオルで水分をふき取ります。 |
|
4 | 【下漬け】 一握りの塩を別に分けておきます。漬け物容器にひとつまみの塩を振りかけます。このあと梅に塩をもみ込みながらひと並びだけ入れては、塩をまんべんなく振りかけることを繰り返します。塩は上になるにつれて多く振りかけるように配分します。 |
|
5 | 全ての梅と塩を入れ終えたら、はじめに分けておいた一握りの塩を上に振りかけ、落としぶたをして、梅の重さの2倍の重石を載せます。表面はラップなどで覆っておきます。 また、水(白梅酢という)が上がってきたら、 梅が浮き上がらない程度まで、重石を軽く します。このまま赤じそのでまわる季節(7月上旬頃)まで冷暗所で待ちます。 |
|
6 | 【赤じそのアクとり】 赤じそが出回ってきたら赤じそを購入し、葉だけをしごいて取ります。水洗いしてから、水分を水切り器やタオルなどで取ります。 ※2012年7月7時点情報 |
|
7 | しその葉の重量を量り、その20%の塩を用意します。しそが300gなら塩は60gです。すり鉢かボールにしその葉を入れ、塩の半分を振りかけて強くもみ込み、絞ってでてきたアクを捨てます。このアク取りを2度行います。 | |
8 | 【赤じその漬け込み】 梅から出た白梅酢を別容器に取り分けます。この白梅酢の半量を分けてとり、赤じそを漬け込み強くもみ込みと赤く発色します。この汁が、梅干しを漬け込む赤い汁(赤梅酢)となります。 |
|
9 | 【本漬け】 絞った赤じその葉を梅の蓋になるように載せます。この上から赤じそを漬け込んで赤くなった汁をひたひたになるまで注ぎます。足りないようなら白梅酢も加えます。落としぶたは梅が浮いてこない程度に軽くします。 |
|
10 | 【天日干し】 梅雨があけた7月20日ころの晴れた日を選んで、梅と赤じそを汁から取り出して、絞った赤じそと共に、梅を天日に干します。この時、赤梅酢も壺のまま、日射に当てておきます。 夕方、梅を取り入れ、日射で熱くなった赤梅酢に戻します(1日目)。このとき重石は梅が浮いてこない程度で十分ですので、軽くします。 2日目、同様に昼に天日に干し、続けて夜干しします(2日目)。 3日目は梅があたたかいうちに取り入れます。 ちなみに、晴天がずっと続くような場合、まるまる3日間干すと、梅が干からびて固くなってしまいますので、途中で曇りになるくらいの日があってもかまいません。それで、延べ1.5日〜2日くらい干せれば十分です。 |
|
11 | 【できあがり】 できあがった梅は、赤梅酢には浸けず に瓶詰めします。赤じそは、赤梅酢を吸わせてから十分にしぼり、梅の上に蓋状にしてのせて保存します。(※赤梅酢に浸けて保存する地方もあるようです)。 食べ頃 は、半年〜1年ですが、すぐにでも食べることもできます。 |
ここでの「こつ」
※1 【梅干し】
生の青梅には微量ですが青酸カリの配糖体と呼ばれる「シアン化水素」が含まれています。このシアン化水素が含まれる青
梅干しでは、天日干しが終わるころには安心して食べられるようです。
※2 【塩】
塩は精製塩よりもミネラル分の多い塩を使った方がまるい味になります。
※3 【梅のへたは竹串でほじって取り除き】
梅のへたをとることでアクを少なくし、塩漬けするときの漬かりを良くします。
※4 【青い梅】
おいしい梅干しは、全体が黄色くなっており、部分的に赤くなっている梅です。このような梅は香りも高くなっています。もし買った梅が青い梅だったような場合には、追熟をします。追熟の方法は、ポリ袋に詰められた梅を、蒸れを防ぐためざるなどにとりだし(箱詰めの場合は、箱のふたを開けるだけでO.K.)、1〜3日ほど置いておきます。
※5 【重石】
梅の重石を途中で軽くすると梅酢を吸ってしまいます。このため再度重石を重くした場合、梅酢を吸った梅がつぶれることがあります。
※6 【赤梅酢に戻します(1日目)】
初日に梅を干してから赤梅酢に戻すとそれまでオレンジ色にしか着色していなかった梅が真っ赤に染まります。
2日目に赤梅酢に戻さないのは塩分濃度が高まるのを防ぐためで、夜干しすることで夜露を吸った梅はやわらかくなります。
3日目は保存性を高めるため、夜露を吸わないうちに取り入れ、保存ビンに入れます。
初日と2日目の午前中を通して、雲1つない真っ晴れバレだったような場合は、2日目の午後や3日目の午後は早い内に取り込み過度に乾燥が進まないようにすると、しわくちゃの梅干しではなく、トロンとしたフルーティーな梅干しに仕上げることができます。
※このような作り方ができるのも、塩分濃度が20%の基本レシピだからこそです。塩分濃度を15%や10%に控えて作られている場合は、腐敗を防ぐために規定どおりの時間をかけて干すようにしてください。
朝(午前) | 昼(午後) | 夜 | 備考 | |
初日 | 干す | 干す | 梅酢に戻す | 梅酢に戻すと真っ赤に染まる |
2日目 | 干す | 干す | 夜露にあてる | 夜露にあてるとやわらかくなる |
3日目 | 干す | 干す or できあがり |
できあがり | 最終日は、梅が固くならないうちに取り入れてできあがり |
※7 【重石を軽く】
重石が重いままだと、梅から水分が出過ぎてしまい、干した後に固くなってしまうようです。重石は、梅酢が上がってきたら梅が浮いてこない程度まで軽くし、過度に水分をださないようにしましょう。また、前述のとおり、一度軽くした重石を、再び重くすると、水分を吸った梅がつぶれてしまうことがありますので、注意してください。
※8 【赤梅酢には浸けず】
ここで残った赤梅酢は、紅生姜をつくるなどして利用することができます。
※9 【食べ頃】
梅干しは、干し上がった後、しばらくおくと味が慣れる(塩辛味が強かったものにうまみが増す)ということがありますが、すぐに食べることができます。梅干しを毎年続けて漬けている私の実家の場合、1〜2年経ってから食べるようにしています。どうも半年〜3年目のものがもっともおいしい食べ頃のようです。 ただし、上記のような基本レシピとは、別の作り方で、梅干しを作られたような場合は、この限りではありません。
※10 【警告】
注意喚起です。手作り食品のなかでも発酵食品は、器具や器具を扱う手などに雑菌がついていると思わぬ事故を招く場合があります。衛生には十分に気をつけて、楽しい食品づくりを心がけるようにしましょう。また、嫌な臭いがちょっとでもしたら口にするのは止め、廃棄する勇気をもちましょう。何事も自己責任の意識をもって行動してください。
梅干し・漬け物・保存食―娘に伝えたいおいしい手作り (主婦の友生活シリーズ) | Q&Aですべて解決! 名人の梅干し・梅料理 | 梅関連ではありませんがお勧めです | ||
干し野菜のすすめ | お菓子作りのなぜ?がわかる本 | おいしい!生地―スポンジ、パウンド、シフォン…焼きっぱなしで極上に | ||
参考文献
・鹿児島中央青果ホームページさんのうめ
・JAみなべいなみ
さんの「梅干を作る前に必ずお読みください」という小冊子