歯ごたえシャッキリ「小梅のカリカリ漬け」 |
桜が咲いて、ツツジも終わるころ、梅がでまわる初夏を迎えます。梅酒、梅干し、梅ジュースと、梅三昧の季節になるその前夜祭として、カリカリ漬けに適した小梅が店頭を飾ります。
「小梅を買おうかな。」 いえ、ちょっと待って下さい。まずは卵料理を食べて、卵の殻を用意します。その卵の殻に含まれるカルシウムを使って、美味しい小梅のカリカリ漬けを作るのです。梅は、梅自身がもつペクチンの作用で、やわらかい梅に変化しますが、その働きを止める重要な役目を担うのが卵の殻のカルシウムなのです。
ちょっとした箸休めとして、または、お弁当に入れて、小粒でちょっぴし酸味のある小梅をカリカリっと噛んで、さっぱりしてみませんか!
かりかり梅 用 |
梅酒 用 |
梅干 用 |
梅ジュース 用 |
梅ゼリー 用 |
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販売時期 | 5月中旬〜6月上旬に販売 | 5月下旬〜6月中旬に販売 | 6月中旬〜7月上旬に販売 | ||
代表品種 | 山梨産 甲州最小 長野産 竜峡小梅 |
鶯宿、青軸、白加賀など | 南高梅 | ||
あく抜き | アク抜き必要 | 熟成期間が長いため アク抜き対象外(不要) |
黄色く熟した梅を使う為、通常不要 (青い梅を使う場合には、アク抜き必要) |
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適当な熟度(色づき) | 青みがかっており、黄色くなる前 | 全体が黄色くなり、部分的に赤みがさしたもの (香りも高いです) |
カリカリ梅を作る基本的な材料
小梅 1Kg ※黄色く熟した梅よりも、若い緑色の方がカリカリ梅に適しています |
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焼酎 35%のもの 50cc | 塩 120g | 卵の殻 2個分 | 卵の殻を包むガーゼ 30cm四方程度と、糸 |
※参考情報 ・塩を手作りするレシピはこちら |
※カリカリの小梅に仕上げたいので、小梅はできるだけ鮮度のよいものを選びます。
用意しておきたい器具
漬け物容器 |
Let’s start!
1 | 【小梅を軟化させないためのカルシウムの用意】
卵の殻を流水でキレイに洗い、内側の薄皮をていねいに剥がして捨てます。 |
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2 | 薄皮を剥がした卵の殻は天日で干して滅菌します。
写真は、天日で干す時間をとれなかったので、オーブン(200度5分間)で焼いてみました。 |
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3 | 滅菌した卵の殻をポリ袋に入れて、握ったり叩いたりして、細かく砕きます。砕いた卵の殻は、4層くらいに折りたたんだガーゼなどで包みます。 | |
4 | 卵の殻をガーゼで包み、糸で綴じます。しっかりと包めるのなら、折り紙のように、折りたたんでもいいでしょう。 | |
5 | 【アク抜き】
カリカリ梅の小梅には、真っ青な梅よりも幾分熟し始めた梅を用意し、小梅を痛めないように水洗いします。 |
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6 | 青い小梅には、アクが含まれますので、アクを取るために十分な量の水に一晩(6〜8時間程度)漬けます。 | |
7 | 梅のへたは竹串でほじって取り除きます。 | |
8 | 【水分ふき取り】
水をきってから、清潔なタオルで水分をふき取ります。 |
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9 | 【焼酎振りかけ】
小梅の滅菌と、塩と混ぜた時の塩のノリを良くするために、焼酎を振りかけます。 |
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10 | 小梅全体に焼酎がまぶされるように、ボールの底から小梅を混ぜ合わせ、まんべんなく焼酎を付着させます。 | |
11 | 【塩漬け】 小梅と塩を混ぜる前に、一握りの塩を別途、取り分けておきます。 漬け物容器の底に、ひとつまみの塩を振りかけ、小梅をひと並び入れた上に、あらかじめ用意した卵の殻がはいったガーゼの包みを置きます。梅酢があがってくるとここからカルシウムが溶け出し、小梅が軟化することを防止します。 このあと焼酎とまぶした小梅をひと並びだけ入れては、塩をまんべんなく振りかけることを繰り返します。塩は上になるにつれて多く振りかけるように配分します。 |
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12 | 全ての梅と塩を入れ終えたら、はじめに取り分けておいた一握りの塩を上に振りかけ、落としぶたをして、梅の重さの2倍の重石を載せます。 | |
13 | ホコリが入らないように、重石を含めて漬け込み容器を新聞紙などですっぽりと覆い、冷暗所で保管します。
始めの2〜3日目迄は、漬け込み容器を傾けたり、揺すったりして、ガーゼで包んだ卵の殻のカルシウムが、梅酢全体に均一に溶け出るようにします。これにより、塩分濃度も均一になります。 |
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14 | 重石をかけてから半日〜翌日には、写真のように水(梅酢)があがってきます。水(梅酢)が上がってきたら、 梅が浮き上がらない程度まで、順次、重石を軽く していきます。 | |
15 | 2週間ほどで、できあがりますので、重石を除きます。
できあがってからは、漬け汁のまま冷蔵庫に入れられる容器に移し替えてもいいですし、小梅だけを密閉容器へ取り出してコンパクトにしてから冷蔵庫で保管することもできます。 いずれにしてもやわらかくなってしまう前に、3ヶ月ほどで食べきりましょう。 |
ここでの「こつ」
※1 【カリカリ梅】
生の青梅には微量ですが青酸カリの配糖体と呼ばれる「シアン化水素」が含まれています。このシアン化水素が含まれる青
カリカリ梅では、漬けてから梅自体に含まれる梅酢が上がって来れば一応は食べれるようです。とは言っても、おいしく食べられるまでの2週間くらいは待ちましょうね。
※2 【塩】
塩は精製塩よりもミネラル分の多い塩を使った方がまるい味になります。
※3 【カルシウムの用意】
卵の殻のカルシウム成分を使います。カルシウムと小梅が混ざり合うことで、小梅に含まれるペクチンをペクチン酸カルシウムとして結合させ、小梅をやわらかくしてしまうペクチンの働きを抑制します。この際、薄皮は余計な成分なので、剥がして捨てます。
※4 【梅のへたは竹串でほじって取り除き】
梅のへたをとることでアクを少なくし、塩漬けするときの漬かりを良くします。
※5 【塩と混ぜた時の塩のノリを良くするために、焼酎】
小梅に焼酎をまぶしていない場合、塩を振りかけても、サラサラと漬け込み容器の底まで落ちてしまい、水(梅酢)があがってくるまで3日ほどを要しますが、焼酎をまんべんなくまぶすことで、次の2点の効果が期待できます。
1.焼酎の滅菌作用により、小梅に万一、キズがあっても、腐敗を低減できます。
2.焼酎の湿り気により、振りかける塩が小梅に付着し、小梅から水(梅酢)を引き出す時間を短縮できます。
※6 【梅の重さの2倍の重石】
重石は、梅酢の出方によって、順次軽くしていきます。このため、重さの加減ができるようにペットボトルに入れた水を使うことをオススメします。
※7 【重石を軽く】
重石が重いままだと、梅から水分が出過ぎてしまい、干した後に固くなってしまうようです。重石は、梅酢が小梅の表面まで上がってきたら、小梅が浮いてこない程度まで軽くし、過度に水分をださないようにしましょう。1週間目くらいからは、1kgの分量の小梅の場合であれば、小皿1枚程度で十分となります。
※8 【食べ頃】
カリカリ梅は、梅酢があがってきてから、2〜3週間でできあがりとなります。
※9 【警告】
注意喚起です。手作り食品のなかでも発酵食品は、器具や器具を扱う手などに雑菌がついていると思わぬ事故を招く場合があります。衛生には十分に気をつけて、楽しい食品づくりを心がけるようにしましょう。また、嫌な臭いがちょっとでもしたら口にするのは止め、廃棄する勇気をもちましょう。何事も自己責任の意識をもって行動してください。
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参考文献
・鹿児島中央青果ホームページさんのうめ
・JAみなべいなみ
さんの「梅干を作る前に必ずお読みください」という小冊子
・荻窪 鈴木青果店の自家製梅干しちょっと良い話 の カリカリ梅の作り方