歯ごたえのあるお茶うけ「たくあん」 |
数年前に横須賀のグリーンハイツに住んでいました。グリーンハイツから自転車で行ける距離に、三浦海岸という関東では結構メジャーな海岸があります。この三浦海岸は夏の海水浴シーズンには、東京方面から来られる海水浴客で一杯になるのですが、ほんのちょっと横道にそれるだけで、なつかしい風景が広がっているのを知っている方はそんなに多くはないでしょう。初めて三浦海岸の台地を見渡せる小高い丘に上ったとき、延々と続くキャベツ畑や大根畑を見て、私はとても感動しました。
こんな三浦海岸ですので、大根の収穫の季節になると、海の家が立つ砂浜にはたくさんの大根が干してありました。今から思えば、その大根も誰かの手によっておいしいたくあんになっていたのでしょうね。一度食べておくべきだったと、いまさらながらに後悔しています。
たくあんを作るための基本的な材料
葉付きの大根 適量(通常10本〜15本を漬ける方が多いようです) | |
かっこ内分量は |
ぬか 干した大根の15% (150g) |
塩 干した大根の6% ※1 (60g) | |
ざらめ糖 (大さじ1/2) | |
とうがらし (半分) | |
昆布 (3〜5cm) | |
他 くだものの皮 ※2 | |
砂糖 大根1本あたり大さじ1 | |
※参考情報 ・塩を手作りするレシピはこちら ・砂糖を手作りするレシピはこちら |
ぬか床の容器 |
Let’s start!
作り方 | ||
【干す】 葉付き大根のまま水洗いして、日のあたり風通しの良い場所で、1週間〜2週間ほど干します。日中は外に出し、露がおりてくる日暮れとともに家に取り込みます ※3。への字に曲げられるようになれば干しあがりです。 |
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2 | 【計量】 干した大根を清潔なタオルでふき、重さを計量します。この大根の重さの15%のぬかと、6%の塩を用意します。 |
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3 | 【葉を切り離す】 葉がバラバラにならないように葉の根元の大根側で葉を切り離します。葉に大根がつくように切ることになります。 |
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4 | 【しんなりさせる】 まな板の上で手のひらで押すように大根を転がし、かたい部分がなくなるようにしんなりさせて水分を平均化させます。 |
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5 | 漬け込み用容器とは別の容器で、ぬかに塩、ざらめ糖、細かく切った昆布、とうがらし、砂糖をまぜこみます。 | |
6 | 【漬け込み】 漬け物容器の底に塩ぬかを振りかけておき、大根を容器にすき間がなくなるように、ぴっちりと1段だけ詰め、さらに上から塩ぬかをふりかけます。すき間ができるようなら大根の葉を詰めておきます。この大根と塩ぬかの層を、繰り返して漬け込んでいきます ※4。 |
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7 | 【ふた】 大根をひととおり漬け込み終えたら、表面に大根の葉で蓋をするように並べ、体重をかけてきっちりと押さえます。分量外の塩を表面がうっすらと白くなる程度に振りかけておきます(滅菌用)。 |
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8 | 【発酵
※5】 今回は卓上漬け物用器をつかっていますが、通常漬け物樽を使う場合には落としぶたをかぶせ、大根の2〜3倍の重さの重石を載せ、新聞紙で蓋をしてほこりが入らないようにポリ袋をかぶせておきます。 |
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9 | 【できあがり】 漬け込んで冬で1ヶ月目くらい、春で3週間目くらいから食べられます ※6。 |
ここでの「こつ」
※1 【干した大根の6%】
通常は、干した大根の6%の塩分となりますが、長期間保存したいような場合には10%程度まで塩分量を増やすとともに、大根もしっかりと干し、水分量を減らしておきます。
※2 【くだものの皮】
たくあんには他にも、みかんの皮、柿の皮、りんごの皮などを干したものをいれるといいようです。ただし、3ヶ月以上漬けるような場合にはみかんの皮は酸味を増してしまうので、入れないようにします。
※3 【日暮れとともに家に取り込みます】
屋外は夜間になると気温が下がり、どうしても露が下りてきます。大根の表面は一見すると乾いているように見えますが、中にはかなりの水分を含んでいるので、この露の湿気で大根の表面までしっとりとしてしまうとカビが生えてしまいかねません。(かく言う私も、始めてのときは外に干しっぱなしにしたために、大根の表面を黒カビの斑点でいっぱいになってしまい、気が付いたときには家内に捨てられてました。)まぁこんな努力をはらわなくても、11月〜12月のたくあんを漬け込む季節には、干し大根も市場に出回るようですので、それを利用するとよいようです。
※4 【漬け込んでいきます】
写真では、大根を切って漬けていますが、決して好ましい方法ではありません。切り口をとおしてうまみが出入りしてしまうそうです。でもそうは言っても漬け物容器に入りきらないんじゃ仕方なかったもんで… (^_^;)
※5 【発酵】
早くて4日ほど、遅くても3週間ほどで水があがってきますので、重石を半分ほどに軽くします。水が上がってこない場合には、40%濃度の塩水を少量だけ足します。
※6 【食べられます】
塩味がきつく感じるようであれば、パン酵母のイーストを大さじ1(大根の分量によらず一定でいいと思います)加えてから1週間おいたり、しばらくうすい塩水につけてから塩抜きをするなどの対処方法があるようです。イーストを加えると酸っぱくて塩辛いだけだったたくあんにうまみと丸味がでました。
※7 【葉っぱは付けたまま干すかどうか…】
このレシピでは、大根の葉っぱは付けたまま干していますが、葉っぱをつけたままだと大根自体の養分も葉っぱに吸い取られるという理由から、葉っぱを切り落としてから干すこともあります。どちらの方法で干すかは、お好み次第ということでしょうか。ちなみに、2003年に64本の大根を漬け込んだゲストのMakkyさんからは次のようなコメントをもらいました。
・葉っぱはつけたまま干し、
・漬け物にしなかった部分の残りの葉っぱも入浴剤代わりに風呂に入れ、
・からからに乾いたダイコンのしっぽも、煮て食べた
葉っぱをつけたまま干したのは、「ダイコンと葉っぱを切り離すと、ダイコンの渇きが遅い。それに、一緒に漬け込む葉っぱも、切り離すと命が途絶えたみたいにしなびると言うよりも、枯れていくような気がします。枯れるのならまだいいほうで、場合によっては、腐ってしまう。・・・ような気がする。」ということでした。ご参考までに…。
※8 【警告】
注意喚起です。手作り食品のなかでも発酵食品は、器具や器具を扱う手などに雑菌がついていると思わぬ事故を招く場合があります。衛生には十分に気をつけて、楽しい食品づくりを心がけるようにしましょう。また、嫌な臭いがちょっとでもしたら口にするのは止め、廃棄する勇気をもちましょう。何事も自己責任の意識をもって行動してください。
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