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焼き窯がなくても七輪でできる「七輪陶芸」
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ホームセンターで、「窯がなくても焼けるよ、七輪を使って炭火で焼成する方法をわかりやすく紹介」という、うたい文句が目についた粘土があったので、うちにある七輪でビールコップを作れるなんて夢のよう…と、あこがれの陶芸の道に足を踏み入れるべく、その粘土を3つ買いました。でも家に帰ってマニュアルの本文を読むと、「炭火を使った低温焼成では、作品は耐水性になりません…」と隅っこに書いてありました。そ、そんなぁあんまりだぁ。 (;_;)
ちょっとがっかりしながら、図書館で陶芸の本を探していると、七輪でどんな陶器でも焼けることが書いてある本を見つけました。捨てる神あれば拾う神あり!! 使う道具はどれも我が家でキャンプの時に使っている用具ばかりで、特段なにも買いそろえる必要はないようです。 釉薬(ゆうやく/うわぐすり)についても勉強※1し、東急ハンズで基礎釉(ゆう)を購入し、いざ、あこがれの陶芸の道へ (
^_^)/□☆□\(^_^ )
ミニ窯も作成しています。こちらをどうぞ!!
これまでの作品はこちらです
陶芸の材料
陶芸用粘土 適量 |
炭 |
アルミホイル |
釉薬(”ゆうやく”、”うわぐすり”とも読む) |
のり |
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陶芸に必要な道具
七輪 |
焼き網 |
火ばさみ |
ヘヤードライヤー |
軍手2組(2重にして使います) |
消化用水とバケツ |
Let’s Go!
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作り方 |
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1 |
【除湿開始※2】 粘土を好きな形に整形して1週間乾燥させたものを網に載せ、点火直後くらいの弱火の炭火であたためます。このとき七輪の空気孔は閉じておきます。
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2 |
【除湿開始から10分後】 作品の上をアルミホイルで覆い、全体がむらなく温まるようにします。
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3 |
【除湿開始から45分後】 七輪の空気孔を全開にします。全開にすると急激に火力が強くなります。やけどに十分注意して下さい。
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4 |
【素焼き 除湿開始から1時間後】 七輪の空気孔を閉じてから、作品を網の上から七輪の中へ投入し、作品が見えなくなるくらいの炭で覆います。
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5 |
【素焼き 除湿開始から1時間20分後】 七輪の空気孔を全開にします。七輪は自然吸気でも700度〜800度になるので10分以上焼けば素焼きは完成※3です。
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6 |
【素焼き 除湿開始から1時間30分後】 素焼き後は元々の粘土の色に、若干灰色の模様が着いた程度でした。この状態では、粘土の説明書にあったとおり耐水性はないということなので、引き続き釉掛け(ゆうがけ)と本焼きを行います。
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7 |
【釉(ゆう)掛け】 釉(”ゆう”と読みます)※4として、今回は透明な釉を使いました。
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8 |
基礎4号釉※5100gに水150ccとのり大さじ1を混ぜ合わせます。釉が固まりになっているようであれば指で細かく潰しておきます。 |
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9 |
筆で釉掛けします。あまり多く付けすぎると本焼きのときに釉が他の作品にくっついてしまうこともあります。(>_<)ヽ |
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10 |
【本焼き※6 除湿開始】 七輪の空気孔を閉じ、網に作品を載せて点火直後くらいの弱火の炭火であたためます。
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11 |
【本焼き 除湿開始から10分後】 作品の上をアルミホイルで覆い、全体がむらなく温まるようにします。
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12 |
【本焼き 除湿開始から20分後】 作品を網の上から七輪の中へ投入し、作品が見えなくなるくらいの炭で覆ってから、七輪の空気孔を全開にします。
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13 |
【本焼き 除湿開始から30分後】 七輪の空気孔を全開にして、空気孔の5cm〜10cmのあたりからヘヤードライヤーの熱風を送り込みます。釉の溶解温度※7は1250度前後ですが、七輪の中心部の温度は最高で1450度前後まで上がるので、釉を溶かすことができます。もし、溶けていない釉の作品があれば、作品を七輪の中心部に移動させてヘヤードライヤーで熱風を送る作業を作品毎に繰り返します。
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14 |
【本焼き 除湿開始から50分後】 ドライヤーの熱風を3分以上当て続けてから、送風なしで10分程度おいておくと釉が溶けて作品は完成します。素焼き〜釉掛け〜本焼きまで自分で行った陶芸作品は、たとえ変形していても格別の味わいを持っています。 ヽ(^。^)丿
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ここでの「こつ」
※1 【釉薬(ゆうやく/うわぐすり)についても勉強】
釉(ゆう)は、というか釉もかなり奥が深いです。ひとつの同じ釉でも、釉を酸化させるのか還元させるのかといった、単に使い方を変えるだけでも発色はまるっきり異なってきます。また釉に加える金属粉の種類で様々な色を出すことも可能になります。これらの組み合わせを楽しみながら自由自在に色を操つる陶芸のプロの方々が魔術師に見えてきました。
※2 【除湿開始】
素焼きする前にしっかりと水分が抜けていないと、作品が割れることがあるので、この工程はあせらず徐々にやることを心がけます。
※3 【素焼きは完成】
素焼きが終了したら、次に本焼きを開始するまでちょっと時間があくはずです。このまま火を着けたままにしておくのもやけどの危険がありますし、炭ももったいないです。水をいっぱいにはったバケツに火ばさみではさんだ炭をジュジューッと突っ込み消火しておきましょう。乾燥すれば炭は再利用できます。着火性は新品の炭よりも優れているので、着火用に使うのも手です。
※4 【釉(”ゆう”と読みます)】
釉とは、うわぐすりと一般的に読んでいるもののことです。焼き物の表面を覆っているガラス質になるものであり、基本的な成分とその大まかな効果は以下のとおりです。
釉の基本的な成分 |
添加による効果 |
珪石、わらの灰 |
耐水性を発揮するガラス質になります |
粘土成分 |
ガラス質成分が流れ出さなくする粘性効果があります |
一般的な灰(わらの灰を除く) |
ガラス質成分を溶かしやすくする効果があります |
※5 【基礎4号釉】
釉にもいろんな種類のものがあり、低温でも溶ける釉があることは後で知りました。楽焼きで使用する釉(楽透明釉”らくとうめいゆう”)が入手できればそちらを使うことをお勧めします。今回使用している釉は、1250度前後(←釉としては高い温度ではないが、決して低くはない!)で溶ける釉であったため、なかなか溶けず、釉を溶かそうと温度をあげたため、粘土本体が高温に耐えかねて変形してしまいました。(ついでに長年使ってきた七輪が受けているダメージも結構大きいような気がしないでもないし… (;_;) )
※6 【本焼き】
乾燥させる時間があれば、釉掛けしたあとも自然乾燥させても良いですが、この作り方のとおりにきっちりと除湿を行えば、何日も間をあける必要はなく、すぐに本焼きを始めることができます。
※7 【釉の溶解温度】
溶解温度が1250度前後といってもピンとくる方はまずいないでしょう。そこで、下記のようなカラーシートと比較して温度を判断してください。でもこのカラーシートって、ディスプレイやプリンタ、そして印刷用紙によって発色がまるっきり異なるので、ぜんっぜん参考にならなかったりして… (^^ゞ
色 |
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温度の目安 |
800度 |
1000度 |
1200度 |
1300度 |
※8 【失敗の数々】
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割れ方 |
原因 |
注意度 |
対処方法 |
1. |
表面がはじけた |
除湿不足 |
★ |
焼きに入る前に十分にかつ、均質になるように乾燥させます。1週間程度の乾燥と、素焼き前の除湿をきちんと行えば容易に防ぐことができます。 |
2. |
粘土のつなぎ目などで、グネグネと割れた |
温度上昇が急激 |
★★ |
作品を作る時には、1.接合部分には傷を付け、2.接着のためのやわらかめの粘土を塗り、3.しっかりと圧着させるようにします。焼くときには、1.七輪の空気孔を閉じたり、2.アルミホイルで覆うなど、徐々に作品の温度が上昇するように配慮します。 |
3. |
直線的に割れた |
温度下降が急激 |
★★★★ |
本焼きの最高温度を達成させた後は、ほっとすると同時に早く作品をみたいという欲求にかられます。また、次に焼く作品がたくさんあったりすると悠長には待っていられないものです。
ここで油断して1200度以上で真っ赤になって透明化している作品を、いきなり外気にさらしてしまうとパシッパシッというはじけるような音がして割れてしまいます。冷却にも細心の注意を払いましょう。 |
4. |
泡立った痕跡がある |
高温になりすぎ |
★★★ |
本焼き時に高温になりすぎています。ドライヤーからの送風を少し遠ざけます。私の釉はなかなか溶けなかったため、釉をとかそうと高温にしましたが、そのために泡立ったり変形してしまいました。 (;_;) この場合は低温で溶ける釉に変更します。もしくは、融点の低い物質の割合が高い粘土に置き換えるという方法もあります。釉は奥が深いのでここでは説明しきれません。是非勉強されることをお勧めします。 |
5. |
作品が変形した |
高温になりすぎ |
★★★ |
作品は横向きに置かず、正しく立てて焼くようにします。特に七輪の内部の底面は最も高温になります。この部分にある炭の凹凸の上に作品を置いて焼いた場合、糸じりが溶けて変形することがあります。このような場合には、余った粘土で円盤状の土台を作り、この土台の上に作品を置いて焼くようにします。 |
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※ 2001年 9月 5日(水曜日) 21:30-21:54のテレビ番組「CASA SONY(BS日テレ)」で、七輪陶芸が取り上げられました。
※9 【お勧めの本】
右で紹介している本を
さらにバージョンアップ
電子レンジでチンして
陶芸を速攻します。
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七輪陶芸といえば、
まずはこの本から
入門した
ものですが、
新品は無くなった?
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専用の陶芸窯を自作して
しまうという本です。
着眼点が素晴らしい。
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陶芸に欠かせない、
釉薬の調合に関する
レシピ本です。
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参考文献)
すべてができる七輪陶芸 吉田明著 双葉社 1700円+税 ISBN4-575-28932-9