100円ショップのレンズを使って「望遠鏡」 |
子供が夏休みの自由研究に悩んでおり、なにかおもしろうそうなものはないかなぁと物色していましたら、ありました、ありました。1つめの候補がこの望遠鏡、2つめの候補は楽器作りです。今年はまず簡単そうな望遠鏡はどう? と提案したら乗ってきました。 イイゾ、いいぞ!!。 o(^o^)o
材料はいずれも100円ショップで買える老眼鏡と虫眼鏡、そして卒業証書を入れるような筒と黒い紙です。対物レンズには、倍率の低いレンズを使い、接眼レンズには倍率の高いレンズを使うと、高倍率の望遠鏡になるということなので、対物レンズとして老眼鏡(+5.0)を購入し、接眼レンズは虫眼鏡としましたが、どうも老眼鏡の度を強くしすぎた(倍率を上げすぎた)ようで、倍率が芳しくないため、接眼レンズを虫眼鏡の2枚重ねとしました。
望遠鏡の材料と器具
レンズをはめる外筒 例:卒業証書を入れるような筒 |
倍率の高いレンズ 例:虫眼鏡を2つ |
倍率の低いレンズ 例:+3.0くらいの老眼鏡(片方だけ使います) |
筒の内側を黒くするもの 例:インクで塗るか黒い紙を貼る |
工作用の厚紙 | 適宜両面テープや紙テープ |
Let’s Go!
作り方 | ||
1 | 【材料の用意】
倍率の高いレンズ(虫眼鏡)2枚と、倍率の低いレンズ(老眼鏡や虫眼鏡など)を用意します。老眼鏡は1枚だけ使います。他にもレンズを支える筒や内側を黒くする紙も用意していますが、筒は牛乳パックを巻いて作り、内側を黒く塗れば、コストを安くできます。 |
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2 | 【レンズを保持するわっかの作成】
レンズを支えるために、厚紙でわっかを作成します。わっかの外形は筒の内径よりも若干大きくして、ぎゅーっと押し込むようにします。内径はぴったりレンズと同じにして、両面テープで貼り付けたり、次で説明するように両面テープで貼り付けたりします。 |
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3 | 【レンズを張り付け】
項番2で作成したわっかを裏返して両面テープを貼り付け、レンズを接着します。 |
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4 | 【わっかでサンドイッチ】
黒い紙でわっかをもう一つ作り、レンズをサンドイッチ状に挟みます。このセットを対物レンズ用として1つ、接眼レンズ用として2つ用意します。 |
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5 | 【筒をカット】
対物レンズを取り付ける筒を対物レンズの焦点距離の長さにカットします。焦点距離は、太陽光を集光し、最も光が小さく集まったときのレンズと光との距離を図ればわかります。また「底」となる部分を若干小さな筒をあてがって、金槌で内側にたたき落として取り去ります。 |
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6 | 【レンズの装着(対物レンズ側)】
筒にレンズを装着します。倍率の低いレンズ(老眼鏡)を付けていますので、こちらが対物レンズとなります。 |
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7 | 筒の内側からレンズの装着状態をみてみるとこのようになっています。わっかが筒の内径よりも大きいため、わっかがひしゃげながらレンズを支持しています。 | |
8 | 【レンズの装着(接眼レンズ側)】
接眼レンズ側は黒い筒を利用しました。 |
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9 | 【スライドさせるレール用の筒】
焦点を合わす為、レンズの距離を可変にできるように白い筒を内側にはめ込みます。長さは、(対物レンズの焦点距離)+(接眼レンズの焦点距離)−(2〜3cm) |
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10 | 【乱反射防止】
筒の内側は黒い方が画像が見やすくなりますので、筒の内側を黒く塗るか、写真のように黒い紙を巻いたものを用意します。 |
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11 | 黒い紙を装着した状態です。実際には白い筒からはみ出ませんので、ご注意を…。 | |
12 | 【接眼レンズの装着】
白い筒にかぶせるようにして、接眼レンズを取り付けます。この状態で情景を見てみましょう。接眼レンズから少し目を離した方が、画像が大きくなったりしなければこれで完成になります。 |
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13 | 接眼レンズから少し目を離した方が見やすい画像となったので、目をレンズから離しやすいように補助用の筒を作りました。 | |
13 | 筒を望遠鏡に取り付けて完成です。 | |
13 | 【使ってみる】
裸眼でみたときの景色です。これを望遠鏡で見てみると、つぎのように見えました。 |
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14 | 【ケプラー式の画像】
画像が倒立して見えます。今回作った望遠鏡はケプラー式と呼ばれ、画像が倒立するのです。またいくらピントを合わせたつもりでも画像にボケがあることがわかります。これを収差といいます。 |
ここでの「こつ」
※1 【高倍率】
倍率は、対物レンズの焦点距離が20cm、接眼レンズの焦点距離が10cmの場合、次の式で求めることができます。
倍率 = | 対物レンズの焦点距離(20cm) | = 2倍 |
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接眼レンズの焦点距離(10cm) |
ちなみに今回のように接眼レンズを2枚重ねにする場合は、2枚重ねにしたときの焦点距離を計測し、上記式に当てはめます。
※2 【高倍率の望遠鏡接眼レンズを虫眼鏡の2枚重ね】
前述の式からもわかるとおり、倍率を上げる方法としては、
1.接眼レンズの倍率を上げるために接眼レンズを2枚重ねにする方法 の他に、
2.対物レンズ(今回は+5.0の老眼鏡を使用)の度を低くする方法 (例
+2.0)
もあります。2.の場合焦点距離が長くなるため、望遠鏡のサイズが長くなります。
※3 【焦点距離】
晴れの日には、太陽光を集光し、最も光が小さく集まったときのレンズと光との距離が焦点距離です。 | 曇りの日などは、レンズをとおして文字などを拡大し、ぼける直前までレンズを離したときの距離を図ればおおよその焦点距離がわかります。 |
※4 【画像が倒立する】
一枚のレンズをとおして、遠くの風景を見てみましょう。倒立してみえることがわかります。望遠鏡では、この画像を、接眼レンズを使って拡大しているにすぎません。原理は次の図のとおりとなります。
レンズをとおして、遠くの物体をみると倒立した画像となって見えます。 | |
レンズをとおして、近くの物体をみると拡大して見えます。 | |
@とAをあわせると、遠くの画像を拡大して見ることができます。 |
※5 【射出瞳径】
明るいところで、接眼レンズ側でちょっと目をはなすと、接眼レンズから数cm離れたところに小さな明るい円が見えます。これは射出瞳径といい、この径が大きくなるほど、明るい画像が得られます。人の瞳は明るいところでは瞳径が小さくなりますし、暗いところでは瞳径が拡がります。もし射出瞳径が瞳径よりも小さければ、その望遠鏡を使ったときには暗く感じますので、射出瞳径が小さくならないようにすることが求められます。この射出瞳径は次の式によって計算できます。
射出瞳径 = | 対物レンズの有効な直径 |
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倍率 |
表.肉眼の瞳径の例
使用時の情景 | 人の肉眼の瞳径 |
一般風景・建物 | 2〜3mm |
夕暮れの光の弱いとき | 4〜5mm |
ナイター(野球・舞台) | 3〜4mm |
夜景 | 6〜7mm |
(参考 株式会社ケンコー 双眼鏡の知識より)
※6 【収差】
ドイツの L. Von SEIDELによると単色光の場合は、コマ収差、非点収差、像面湾曲、ディストーション(歪曲)の5種類の収差がある、、という説明をみました。この他に色収差というのがあって、これはプリズムなどをとおった光が七色にわかれることからも理解できましたが、前述の5つの収差については、専門家にまかせることにしましょう。 (^_^;)
※7 【警告】
望遠鏡では太陽を絶対に見ないでください。失明する恐れがあります。特にこどもには失明の恐れがあることを念押ししながら、注意してください。
参考文献
1.星を見る道具の工房さんの親子でつくろう
30分で出来る望遠鏡の作り方
2.株式会社ケンコー 双眼鏡の知識
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