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わさびが香る「鮭茶漬け」
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お茶漬けは、作り方ひとつで簡単にも作れますし、作り手の思い入れを込めることもできます。私は、そんなお茶漬けが大好きです。ここでは、いろんな作り方があるお茶漬けのなかから、私が好きな鮭茶漬けの作り方を通して、鮭の皮のおいしさや、鮫皮おろしでおろした生わさびの旨さ、緑茶のうま味を味わっていただきたいと思います。
鮭茶漬けの基本的な材料
用意しておきたい器具
鮫皮おろし |
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Let’s start!
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作り方 |
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1 |
【わさびの準備】 生わさびは香りが高くお茶漬けにもぴったりです。鮫皮おろしのようなきめが細かいおろしを使うと、揮発性の香りがたち、わさびの味と香りを楽しむ※1ことができます。
※この揮発性の香りを飛ばさないためにも、緑茶を注ぐ時には、わさびに直接かからないようにしましょう。
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2 |
【塩鮭の準備】 鮭茶漬けの主役の塩鮭※2は、ウロコを落とし、さかな焼き器で焼き、骨を取り除き、フレーク状にしておきます。また、鮭の皮も、うまみの皮下脂肪を多く含んでいるので、細かく刻みます。
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3 |
【のりの準備】 のりは、香りが逃げてしまわないように、2枚重ねにして遠火であぶり※3、細かく短冊状に切っておきます。
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4 |
【緑茶を注ぐ】 熱湯でぬめりを洗い流したご飯を大きめの茶碗によそいます。その上にのりをちらし、フレーク状にした鮭と、刻んだ鮭皮、生わさびをのせ、醤油をぽとぽとと垂らします。
緑茶は、まず、ほんの少しの湯を茶葉にかけて、その湯を捨てます。15秒くらい待って、お茶のうま味がでるようになったら、熱湯よりも若干冷ましした湯を茶葉にかけ※4ながら(生わさびにかからないように)注げば、鮭茶漬けのできあがりです。
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ここでの「こつ」
※1 【わさびの味と香りを楽しむ】
わさびを最初にすりおろし始めるのには訳があります。わさびの中に含まれている辛み成分は酵素によって分解されてはじめて辛味になります。このため、すりおろし直後よりもちょっと時間をおいた方が辛味が増すのです。また、わさびの辛味成分を分解する酵素はわさびの細胞に含まれているため、鮫皮おろしのような目の細かいおろしを使うことで辛味成分の分解が促進され、香りと共に辛味を楽しむことができます。
※2 【鮭茶漬けの主役の塩鮭】
焼き鮭にする鮭は、約30分くらい前に生鮭に塩を振りかけた塩鮭が良いようです。鮭が生のままだと焼いている最中に身が崩れますが、塩鮭だとドロップが少なく、身もさほどくずれません。ドロップが少なくなるのは、鮭を焼くことで表面の塩分濃度が高まり、浸透圧により身の内側の水分がでて身がひきしまるためです。
※3 【2枚重ねにして遠火であぶり】
2枚重ねにすることで、熱であぶられている側から揮発したうま味成分がもう一方の海苔に吸収され、過度にうま味がなくなるのを防ぐことができるのです。
※4 【熱湯よりも若干冷ましした湯を茶葉にかけ】
お茶のうま味や香りの成分は温度が高いと早く抜けてしまいます。熱湯よりも若干さました湯で、ゆっくりと注ぎお茶のうま味を十分に抽出させます。